鈴木邦彦(すずき・くにひこ)/日本医師会常任理事。1954年生まれ、63歳。2006年から茨城県医師会理事、10年から日本医師会常任理事、16年からスイッチOTCに関する国の評価検討会議委員。

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医師の処方箋が必要な医療用医薬品(処方薬)から、処方箋不要のOTC(大衆薬)に転用された医薬品をスイッチOTCという。7月の国の「第2回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチOTC検討会)では、医療用医薬品である緊急避妊薬のスイッチOTC化の妥当性が議論された。医師、薬剤師、消費者代表などで構成される委員からは「OTC化は妥当ではない」という意見が相次ぎ、スイッチOTCそのものにあらためて注目が集まっている。『週刊ダイヤモンド』10月21日号の第2特集「追い風は本物か 踊り場のOTC」の拡大版としてキーパーソンたちのインタビューを全4回でお届けする。1回目は、スイッチOTC検討会の委員、鈴木邦彦・日本医師会常任理事に聞く。(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)

――医師会としてのスイッチOTCに対するスタンスを教えてください。

 やはりお薬ですから、有効性、安全性を第一に考えるべきだ。スイッチOTCは有効成分がある程度担保されたものが医療用からスイッチされるものですから、スイッチされた場合に安全性が担保されるかどうかを第一に考えるべきでしょう。以前にスモンという薬害事件がありましたよね。これもOTCですよ。OTCによって実際に薬害事件が起きている。忘れてはいけない。

――スイッチOTCにふさわしい薬を医師会はどのようにお考えですか。

 自覚症状があって比較的短期間で回復して、自ら服薬の中止を判断できる薬が望ましいと考えている。例えば生活習慣病治療薬は、自覚症状がなくて、いつまで続けていいか分からない。しかも長期にわたる、生涯にわたる全身管理ですよね。(中性脂肪値などの)数値をただ下げればいいという話ではない。まったくスイッチOTCにふさわしくない。これは一貫して医師会だけじゃなくて日本の根本的な考え方。ずっと変わらない。

――国民皆保険制度なので医療へのアクセスがいいのは分かりますが、一方で医療費が高騰し、国民皆保険制度を維持するためには新たな政策が必要です。だからこそスイッチOTCを進めるべきなのではないでしょうか?

 だからって、安全性をないがしろにしていいということにはならないですよね。われわれは全てのOTC化に反対しているわけではないですよ。今までOTC化されたものを見ていただければお分かりですけど、ほとんどのものには賛成している。認めなかったものだけが注目されるようですけど。

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