本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「70代の父が突然、勝手に結婚しました。相手は50代女性で、入籍は事後報告。父が他界した場合、遺産が彼女にも渡ることが納得できません。父はもともと婿養子で、財産の多くは3年前に亡くなった母の実家から受け継いだものなのです。父の妻に遺産を相続させない方法はありますか?」(40代女性・主婦)
 
【回答】「貴女の行動によって、再婚相手に全く相続させないようにする決定的な方法はありません」(仲岡しゅん)
 
今回のご相談。まず、再婚の場合の相続人は誰になるのかという根本的なことを確認しておきましょう。
 
民法第900条1号によると、「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」とあります。つまり、夫が亡くなり、妻と子1人が残された場合、妻が50%、子が50%を相続することになります。子が複数いる場合は、遺産全体の50%を、さらに人数で頭割りしていくことになりますわ。
 
これは、妻である以上、再婚相手にも同じく適用されます。つまり、お父さんの再婚相手も、お父さんが先に亡くなった場合、50%の法定相続分を持つことになるわけです。この分を再婚相手に相続させないようにする手段は、2つ考えられます。
 
まず1つ目は、お父さんに「全財産を娘に相続させる」と、遺書を書いてもらうこと。もっとも、そういった遺言を書くかどうかはあくまでお父さん自身の判断であって、貴女が強制的に書かせることができるわけではありません。
 
また、たとえお父さんがそのような遺言を書いたとしても、民法第1028条2号で、「遺留分」という制度が存在します。これは、遺言の内容にかかわらず、相続財産の一定割合については、相続分を確保できる権利のことです。
 
妻の場合、相続財産のうち2分の1が遺留分となり、法定相続分である50%、つまりトータルで相続財産の25%については受け取ることができます。つまり、お父さんの遺言の内容にかかわらず、後妻がお父さんの死去を知ってから1年以内に請求した場合は、25%を後妻に持っていかれるということです。
 
2つ目の方法としては、再婚相手に相続放棄してもらうこと。しかし、こちらもあくまで再婚相手自身の判断であって、貴女がそれを強制できるわけではありません。
 
つまり、貴女の行動によって、再婚相手に全く相続させないようにする決定的な方法などないということです。
 
親は親の、子は子の、それぞれ別の人生を歩んでいるのです。再婚も親の人生。誰が先に亡くなるかもわかりません。もらえるかわからない相続財産を、あてにするのはおよしなさい。わたくしだったら、そう言います。