第3戦で大会初先発を飾った椿直起(20番)。その悔しさを胸にイングランド戦に挑む。(C)Getty Images

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 小気味良いステップからの急加速。天下一品の高速ドリブラー、椿直起(横浜ユース)の真骨頂は「自分でも武器だと思っている」という“個人突破”にある。
 
 U-17日本代表“00ジャパン”には最終予選終了後に初招集を受け、高い評価を獲得してきた。好不調の波は少々あるものの、調子に乗った時は手が付けられないほどの切れ味を見せる。所属の横浜ユースでは先発で使われないことも多く、コンディション面を不安視された時期もあったのだが、最終的に森山佳郎監督は「スーパーサブになってくれれば」という期待も込めながら21人のメンバーリストに椿の名前を加えた。
 
 日本人のドリブラーが外国勢相手にこそ輝くというパターンは少なくない。古くは日本が準優勝した1999年のワールドユース(U-20W杯)における本山雅志のプレーが印象深いが、2009年のU-17W杯でも宮市亮がスピードに乗ったドリブルで“スーパーサブ”として機能し、その活躍が欧州移籍につながったという過去もあった。
 
「(外国勢を相手にしたドリブルは)日本よりもやりやすい」と椿が語っていたこともあるのだが、こうした感触を持つ選手は椿に限らない。日本人DFが総じて「抜かれないこと」を徹底して重視するのに対し、外国人DFはよりボールを“奪う”意識の高い守備をしてくるため、スキルのある選手であれば、逆をつきやすいのだ。ドイツを中心に多くの日本人ドリブラーが買われていっていることでも分かるように、そこに需要も発生している(もちろん、ドリブル“だけ”だと、そのあとで壁に当たるのだが)。
 
 ニューカレドニアとの第3戦、初先発となった椿は得意のドリブルで相手DFを手玉にとって切り崩すシーンを何度か見せた。左ウイングバックに移った終盤は単騎突破から決定的シュートへと至るプレーまで見せて会場を大いに沸かせたが、肝心のゴールには至らない。「体力がなくなっていた」と振り返ったように、酷暑の中で初めて先発フル出場となる中で、スタミナを持続できていなかったのは明らかに課題だった。
 
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 第3戦でのプレーぶりを観る限り、やはり現状では“スーパーサブ”での起用となることが濃厚だ。だが、別にネガティブになる必要はない。その高速ドリブルはやはり脅威で、逆に相手が疲れている状況ならば、より輝く可能性は十分にある。いや、状況さえ整えば、確実に“効く”だろう。

 肝心なのは、シュートやラストパスで本人も認めた「最後の精度」を出せるかどうか。サイドの守りは多少緩くてもゴール前はとにかく頑健なイングランド守備陣を破るために、椿には“ドリブラー”の枠から飛び出していくような輝きを期待したい。

取材・文:川端暁彦(フリーライター)