5試合連続でスタメン出場した小川(40番)は、移籍後初ゴールでチームを降格の危機から救った。写真:川本学

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[J1リーグ29節]G大阪0-1新潟/10月14日/吹田S

 引き分け以下に終われば、他会場の結果次第でJ2降格が決まる新潟を救ったのは、今夏に期限付きで加わった小川佳純の一振りだった。

 スコアレスで迎えた67分、右サイドのホニがゴール前へグラウンダーのクロスを放り込むと、敵DFに当たって跳ね返ったボールが小川の下へ。迷わず左足を振り抜いたシュートが決まり、待望の先制点をもたらした。

「前半からビッグチャンスがあって外していたので、ほっとしたという気持ちのほうが大きかったですね」

 新潟に17試合ぶりの勝利をもたらした決勝ゴールは待ちに待った移籍後初ゴールでもあったが、小川の想いは喜びと反省が半分ずつといったところだろうか。本人が指摘したように、前半(15分)にも決定機が訪れながら、GKとの1対1をモノにできなかったからだ。

 ただ、序盤から度々チャンスに顔を出すなど、出来は決して悪くなかった。DFの背後を突いてゴールへと迫る動きは、まさに小川の真骨頂と言えるだろう。実際、この日のプレーに関しては、こう手応えを語った。

「相手の最終ラインにギャップができたり、サイドバックの裏が空くのは、試合前のミーティングから分かっていたので、そういうところを僕だったり、サイドハーフが突くっていうのはチームとしてやろうとしていた。前半から上手く突けて、チャンスが作れていた」

 小川にとって、この試合は自らの価値を示すには絶好の機会だった。

 2007年から10年在籍した名古屋でかつて「10番」を背負ったアタッカーも近年は輝きを放てず、今季はじめに加入した鳥栖でも出場機会に恵まれず不遇の時を過ごしてきた。そんな折、新潟から届いた獲得オファーに不退転の決意で移籍を決断する。

「なかなか勝てないチーム状況の中で、自分が入って内容が上向いて勝星を重ねることができれば、選手としての価値が上がる」

 新潟で初出場した25節の広島戦から5試合目、崖っぷちに立たされたチームを救う働きは、自らを、そして、チームを勢いづけるものになるはずだ。ただ、苦しい状況に変わりはない。

「喜びというよりほっとした。これで満足はしていられないし、1試合1試合がトーナメントのような気持ちで、今日と同じテンションでやっていかないと。次も勝てるように頑張りたい」

 一度は沈みかけたキャリアの波が、再び上ろうとしている。33歳のアタッカーは、奇しくも同じような立場に置かれたチームとともに、這い上がる覚悟だ。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)