【コラム】万能性発揮で奮闘も反省の弁…山崎大地はさらなる高みを目指す

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 前に出て潰しに行く際の決断力、絶対的な球際の力強さ。中学時代の山崎大地はこの二つのベースを持ち、ボールを“奪える”点が魅力のボランチだった。FIFA U−17 ワールドカップインド2017、ニューカレドニア代表との第3戦、DFとなって久しい山崎はまさにこの位置で起用されることになる。言ってみれば、昔取った杵柄。だが本人は、「前日練習から急にボランチをやることになって、久しぶりで少し不安もあった」と正直に振り返った。

 2年前のU−15日本代表にはまさにボランチとしてのプレーを買われて選ばれていたのだから、森山佳郎監督の脳裏にもそのイメージはあったのだろう。実は前日練習よりも以前、第2戦終了直後の時点で個人的に第3戦のメンバーを予想してみているのだが、筆者も山崎をボランチに置いている。それはやはり当時のポジティブなイメージがあるからだが、「山崎なら急にやることになっても大丈夫だろう」という安心感もあった。

 迎えた第3戦の出来について本人は「ミスが多かった」と振り返ったが、言うほど悪いパフォーマンスではなかったように思う。フィジカル自慢のニューカレドニアを相手に球際で戦って潰すシーンも一度ならずあり、期待されたようなプレーは確かに見せていた。ボランチの相方である福岡慎平(京都サンガU−18)を前に行かせ、自身はディフェンスライン手前に残るようなことが多かったが、「攻撃面で役に立てない分、守備で頑張ろうと思っていた」と、リスク管理の部分でも破綻させなかった。

 本人が悔しがったのはCKからあった絶好機でゴールポストを叩いてしまったシーン。

「この試合の前にみんなに『今日、絶対俺点とるから』と言っていて、はりきって絶対決めてやろうという気持ちで行ってたんですけど、ポストに当たってしまって、甘いところが出た」

 後半は3バックのリベロという形で現在の「本職」となったCBでもプレーしたが、こちらでのプレーも本人は反省しきり。特に最大の持ち味であるロングパスにトライする絶対数が少なかったこと、そして前半ボランチでプレーしたことでガス欠気味になってしまったことを猛省した。「1対1はあんまり負ける気はないですけど、体力面で付いて行けなくなって、自分のところから起点を作られてのピンチもあった」と振り返った。

 決して悪いプレーばかりだった試合ではないのだが、それでも反省の弁ばかり口をつくのは、より高いレベルを意識しているからだろう。前十字靭帯断裂という大ケガから復活し、世界大会のメンバーに滑り込みで間に合ったという流れは、ともすると「選ばれて良かった」「試合に出られて良かった」というだけに終わりかねないものでもある。本人は「ここで満足してはダメ」という言葉を日本での国内合宿から繰り返してきた。

「(世界大会のメンバーに)選ばれたのは嬉しいですけど、(チームが)厳しい中でも出られないのが現状で、メンバーに入って満足していたら、いま入れていなかった人がどんどん(自分の)上に上がってくる。自分で勝手に納得して、『これでいい』みたいな感じでいたら成長はない。謙虚にやり続けたい」(山崎)

 ピッチ外ではチームの激励に訪れた中村俊輔(ジュビロ磐田)の前で一発芸を繰り出すような陽気なキャラなのだが、ことサッカーに対しては徹底して真摯な男である。今大会で彼の出番がこの先あるかは何とも言えないところだが、彼の成長はこの先もまだまだきっと続く。そう予感させてくれる一コマだった。

文=川端暁彦