暑かった夏が過ぎ、気持ちよく走れるランニングシーズンがやって来た。自分で走るのはもちろん、観戦する方もこれから年末年始に向けて、福岡国際マラソンや箱根駅伝など、楽しみな大会が待っている。


走りに関しては自信を持って、撮影に臨んでいるという宇野けんたろうさん

 ランナーにとってうれしい季節を迎えて、ドラマでも陸上が舞台となる作品が始まる。埼玉県の老舗足袋業者が大手スポーツメーカーを相手にランニングシューズの開発で勝負を挑む、池井戸潤の小説が原作の『陸王』だ。

 そのなかでダイワ食品陸上部のエース・立原隼斗を演じる、お笑いコンビ・げんき〜ずの宇野けんたろうさんに、ランニングへの熱い思いから、『陸王』の撮影現場の雰囲気や見どころを語ってもらった。

 このキャスティングが宇野さんのところに来たのも必然と言える。というのも、初マラソン挑戦で2時間48分の記録を出し、3時間の壁を軽々と越えてしまう実力を持っているランナーなのだ。中学、高校では陸上部に所属し、高校3年生のときには東京代表・正則学園のメンバーとして全国高校駅伝を走った経歴がある。しかし、「当時、大学からの誘いもあったんですが、その頃の僕はお笑いがやりたくて、大学には進学せず吉本クリエイティブ・エージェンシーに入りました」と、陸上の世界からは少し離れていた。

 芸人になって10年ぐらいが過ぎたころ、初マラソン挑戦の話が舞い込んできた。

「仕事でホノルルマラソンを走らないかと言われて、ハワイにも行けて、仕事で走らせてもらえるなら頑張ってみようと、また走り始めたんです」

 初マラソンに向けて、ベテランランナーからアドバイスをもらい、とにかく休むことなく毎日走ったという。それでも実際にフルマラソンを走ってみると、「30kmを超えてから一気にキツくなりました。こんなにも脚がガチガチに固まってしまうんだなと」

 しかし、キツかったとは言いながらも「もっと工夫すれば、いい結果が出せるんじゃないか」と秘めていた陸上魂に火がつき、練習に励むようになった。

「今は毎日2回練習しています。朝起きて仕事の前と、夕方か夜中です。時間がない場合は仕事場まで走っていきます。だから劇場の出番があったら、家から劇場まで走って、ネタをやって、帰りも走って帰るみたいな。行きでかなり体力使うので劇場ではネタが飛びます(笑)。疲れすぎて滑舌も悪いし、それもネタとして……(笑)」

 それだけ走るモチベーションは何なのかと聞くと、「本気で走っているというのが伝わると、皆さん応援してくれるんですよね。もちろん自分のためでもあるんですけど、応援してくれる人がいるから、頑張るしかないと思っています」と教えてくれた。


ダイワ食品陸上部のエースが履くピンクのシューズにも注目

 練習の成果は着実に記録に出ている。今年2月の東京マラソンでは2時間33分30秒を出し、来年の東京マラソンでは2時間30分を切ることが目標だという。

 ただ、今は走ることに加えて、体幹トレーニングにも力を入れている。4年前の東京マラソンで、治りかけていた坐骨神経痛と肉離れが20km付近で両方再発してしまった。そのとき、ゼッケンを留める安全ピンでおしりを刺して、その痛みでほかの痛みを誤魔化しながらゴールした経験から、体幹の重要性を感じた。

 今回のドラマ撮影のなかでも青学大駅伝チームのトレーニング”青トレ”を実践していて、「撮影に入って改めて、陸上と向き合っている気がします」と話す。

「竹内涼真さんもこの役のために体を絞っていたし、箱根駅伝に出ていた和田正人さんも、この撮影に向けてさらに体を絞ったようで、ほんとうに役者さんってすごいと思いました」

 撮影では「出演者が本当に豪華なので、自分みたいなのがいていいのかなって、毎日緊張でオエオエしてます(笑)。でも走るシーン撮影は自信を持って、役柄のエースとしてしっかり走っています。本当にありがたい経験です」と、お笑いとは違うドラマという畑で奮闘している。

 宇野さんが挙げるドラマの見どころは、「やはりみんなの走りです。そこをすごく見てもらいたいです。僕たちはダイワ食品陸上競技部として、走りをしっかり見せるっていう役目なので、熱さを感じてもらえたらと思っています」という。

 最後にこのドラマ撮影での目標を聞いた。

「竹内涼真さんと仲良くなるっていうのが最終目標ですね。今のところ目標の半分くらい来ています。最終回くらいには連絡先交換できてるんじゃないかなと。それか、僕がグイグイ行き過ぎて嫌われてるか……。誰も興味ないか(笑)」

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