鹿島の2ボランチのファーストチョイスとして、三竿健の存在感と貢献度はますます高まっている。写真:徳原隆元

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[J1リーグ29節]鹿島2-0広島/10月14日/カシマ
 
 難しいことはしない。自分が受けたボールをシンプルに味方へと預ける。それをミスなく繰り返す。一見すると、簡単な作業かもしれないが、間違いなく実効性のある潤滑油として、三竿健斗のパス捌きはチームにリズムをもたらしていた。
 
「奪った後のボールを失うとまた、苦しくなる。そこはみんな意識していたと思うし、ずっと言われてきていたので」
 
 土居聖真の先制点を導いたのも、三竿健の縦パスだった。
 
「(山本)修斗君が良い守備をして、こぼれたボールをしっかりとつなげて、聖真君が決めてくれたので、良い形だったと思います」
 
 素早く攻守を切り替えた山本が、DFからパスを受けたアンデルソン・ロペスを止めにかかる。両者がもつれて倒れこむと、転がるボールをすぐ側にいた三竿健が回収。間髪入れずに、前にいる土居に配給する。
 
 この短いパスも、誤解を恐れずに言えば、いたって“普通のパス”である。だが、三竿健なりの狙いがあった。
 
「ターンして仕掛けてほしかった。それは聖真君の得意な形でもありますし、聖真君の特長を出せたのかな、と」
 
 土居は三竿健からのパスを右足でトラップすると同時に、流れるような動作でターンして前を向き、そのまま加速してDFをダブルタッチでかわし、シュートを叩き込んだ。
 
 受け手のどちらの足にパスを出すかは、常に配慮している。右足か、左足か。どちらに出せば土居がスムーズに前を向けるか――中央から仕掛けるために、相手ゴールを背にして、ほんの少しだけ左にステップを踏んだ土居の動きを見逃さなかった三竿健は、土居の“右足”を狙って優しいパスを供給した。
 
 ゲームを作り、味方のフィニッシュをお膳立てする一方、守備では的確なポジショニングで不用意にスペースを与えず、球際の勝負では巧みな身体の使い方でマイボールにする。
 
 三竿健自身は「今の僕はポジションを確立して、試合に出ることに必死」と謙遜するが、今や2ボランチのファーストチョイスとして、リーグ連覇にまい進するチームの中軸を担っている。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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