猫ひろしも苦しんだ足裏の痛みに襲われた筆者は……

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 前回に引き続き、離島マラソンに挑戦した私、タカ大丸。 ゴールはしたものの、足裏の痛みがひかない。確かに、ゴール10m前でふくらはぎのけいれんに襲われたとき、どうせならゴールテープを切った後にきやがれという思いがあったが、とりあえずこの足裏の痛みを何とかしなければならないと思った。

 私は預けていた荷物を受け取り、財布とスマホを取り出した。といってもこの孤島にあるのは売店だけで、目の前の徳洲会もこの日は休んでいる。とにもかくにも私はレース用のシューズを脱ぎ、布製のわらじに履き替えた。ここで私が思い出したのは一人の友人であった。

 第0回でご登場いただいた農林水産省のキャリア官僚Nの紹介で知り合った久保田裕也氏である。氏は大学時代Nと同じテニスサークルに所属していたとのことだったが、社会人になった後ご多聞にもれず不規則で運動不足な生活のために体重85圓泙覗えたところで心機一転、マラソンに目覚めてオトバンクという会社を経営する傍ら、フルマラソン2時間40分台を記録する豪の者である。

 マラソン経験がない方には何のことやらさっぱりわからないと思うが、リオ五輪に出場したカンボジア代表でこの加計呂麻ハーフマラソンの特別ゲストでもある猫ひろし氏のタイムが、2時間45分55秒である。ゴルフでいえば、18ホールを65前後で回るに等しい。

 事前にこの大会で走り、完走したらすぐに報告することを久保田氏に伝えていた私はフェイスブックのメッセンジャーで問い合わせた。

「1:57:13でした。ヒザは大丈夫ですが、両足裏にきています。何か応急処置ありますか?」

 しばらくすると返答が届いた。

「それ足底筋膜炎かもしれませんね。足裏は厄介なので、とにかく足裏を使わない、歩かない、アイシングを続けることですね」

 ちょうどその頃、私は前述のとおりシューズを脱いでわらじに履き替え、両足を前に投げ出して歩かないまま、猫ひろし氏のトークショーに耳を傾けていた。つまり方向性としては間違っていないということになる。

 ただ、加計呂麻には銭湯がない。コンビニも薬局も、スーパーマーケットすらない島だから驚くにはあたらないかもしれないが、長距離走った直後に一番ほしいのは水風呂を備えた銭湯である。前回説明した通り、ピッ子さん宅にはシャワーがない。しかも彼女は島一番のイベントで売店にいる。つまり家にはいない。さあどうするか、私はない知恵を絞った。

 といっても答えは限られている。目の前にあるフェリーで一旦奄美大島にわたるしかない。奄美に行けば港から徒歩十分のところに銭湯があることはわかっている。幸いハーフマラソン出場者には奄美―加計呂麻無料フェリー往復券がついている。これで行くしかない。

 14時に出たフェリーは14時25分に奄美に着く。走った直後で歩くのに時間がかかるだろうが15時前には銭湯にたどり着けるはずだ。一時間銭湯で過ごしたにしても17:30発のフェリーに乗れば加計呂麻の家に戻ることができる。私は満員のフェリーに乗り込んだ。

◆ランナーには必須。猫ひろしも推奨する足裏ケア

 奄美の古仁屋港について、歩き始めた。もちろん、足を引きずりながらである。普段なら徒歩十分のところを15分ほどかかって「嶽乃湯」にたどり着いた。

 文字通り昔ながらの銭湯で、戦前から営業しているという。靴箱は木製でカギも木製である。少し朽ちているところが時代を感じさせてくれてなおいい感じを醸し出している。そして更衣室のロッカーに至っては木製であるだけでなく数字も全て漢数字で表記されている。「11」ではなく「拾壱」である。

 てっきりハーフマラソン出場者でごったがえしているのかと思っていたが、そんなことはなかった。それでも、宮崎県から来たという同好の士が一人いた。体形と足の引きずり方を見ていればそういうのは大体わかる。