84分には伊東のクロスを“右太腿あたり”で確実に押し込む。貴重な追加点となり、勝利を決定づけた。写真:徳原隆元

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[J1リーグ29節]鹿島2-0広島/10月14日/カシマ
 
 ラストワンプレーは、鈴木優磨のトラップミスだった。
 
 左サイドから安部裕葵が持ち運び、ゴール前に走る鈴木にラストパス。しかし、鈴木はペナルティアーク内で上手くコントロールできず、シュートを打つことができない。ボールは相手GKの前に転がってしまい、ここでタイムアップの笛が鳴る。
 
「あれを決めていればなっていう感じ。もっと決められるように頑張ります」
 
 ラストプレーからさらに数分前には、センターサークル付近でマイボールにすると、そのままドリブルで突き進み、ワンフェイク入れてから思い切り右足を振り抜く。シュートは相手DFに当たってCKのチャンスを得るが、鈴木は両膝に手をやって身を屈め、首を振って悔しがった。
 
 二度のチャンスをフイにしてしまった。だが、84分にはきっちりと仕事を果たしている。右サイドから伊東幸敏がクロスを入れると、ニアで土居聖真が潰れ、流れてきたボールをファーで待つ鈴木が確実に押し込む。「久しぶりにゴールできて良かった」。勝負を決定づける貴重な追加点だった。
 
 2週間前の前節・鳥栖戦はベンチ入りも出番がなかったが、この日は67分にペドロ・ジュニオールと代わって途中出場する。与えられたプレータイムは、アディショナルタイムを含めれば、約25分。決して多くはない時間のなかで、1ゴールを含む3度のゴールチャンスに絡んでみせる。ハットトリックこそならなかったが、相変わらずの勝負強さといっていい。
 
 これで今季リーグ通算6ゴール目。そのうちの5つが途中出場から決めたもので、切り札として期待に応える働きぶりである。
 
 もちろん、本人はスタメンにこだわり、現状に満足しているわけではないはず。最後に先発したのが、奇しくも6月の広島戦だった。同じ相手から奪った今回のゴールをきっかけに、FWの序列を覆すことができるか。
 
 不動のエース金崎夢生、今節の広島戦で先制点を挙げた土居、怪我から復帰したP・ジュニオール、最近は評価を高めつつある金森健志。強力なライバルたちとの熾烈なポジション争いに挑む鈴木は今季、どこまで羽ばたいていけるのか、最後まで注目したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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