18日からの中国共産党大会を控え、国営メディアで習近平総書記礼賛が続いている。一方、朝日新聞は社説で中国が日中戦争の期間を14年としたことを取り上げ、「最高指導者の都合で歴史観を定める」と批判している。写真は北京の天安門。

写真拡大

2017年10月18日から始まる5年に一度の中国共産党大会を控え、国営メディアの習近平総書記礼賛が続いている。「習氏の社会主義社会建設に関する論述要約」出版などの報道が相次ぐ。一方、朝日新聞は社説で中国が日中戦争の期間を14年としたことを取り上げ、「最高指導者の都合で歴史観を定める」と批判している。

中国国営新華社通信によると、「論述要約」は「社会の公平と正義を促進」「公平で持続可能な社会保障制度を確立」「中国の特色ある社会主義の社会ガバナンスシステムを改善」「公共の安全と社会の安定を確実に維持」など九つのテーマに分かれている。習総書記の2012年11月15日から17年9月19日までの講話、報告、演説、指示、祝賀メッセージなど140の重要文献から326の論述が収められたとされ、うちの多くの論述は今回初めて公開されるという。

さらに新華社は別の記事で習総書記の看板政策の「反腐敗」もPR。「習同志を核心とする党中央は党内に存在する目立った問題に直面し、中央の『八項規定』の制定と実行を切り口に厳しさを前面に出し、刃(やいば)を内部に向けて、新たな情勢下での風紀建設において何をどのようにつかむかという問題を解決し、全面的な党内引き締めを大いに推進した」と称賛している。

中国メディアが習総書記を持ち上げるのとは対照的に、朝日新聞は9日付で「中国の歴史観政治利用の不毛な動き」との社説を掲載。「最近、習近平政権は1931年9月18日に起きた満州事変・柳条湖事件を抗日戦の起点と唱えるようになった。戦いの期間は(37年7月7日の盧溝橋事件から)6年延びて14年となる。習氏自身が、14年間を一貫したものと捉えるよう求めた、とされている。その狙いは、自らが率いる共産党政権の正統性を強めることにあるようだ」と論じた。

社説は「満州事変以降、日本の侵略が断続的に進んだのは事実だ。反省すべき戦争を長い視点で考える意味も込めて、日本でも同様の見方をすることがある」としながらも、「習政権の動きは、そのようには見えない。むしろ、時の最高指導者が自らの都合に合わせて歴史観を定めているというのが実態だ」などと指摘している。

朝日新聞は文化大革命当時、日本メディアが中国から追放される中、駐在が認められたことなどから、「親中派」と目されてきたが、このところ中国と距離を置く論調も目立つ。4月に中国初の国産空母が進水した際は、社説で「中国は、危うい軍拡路線を改めるべきである。力の誇示で、大国としての信頼は築けない」とも主張している。(編集/日向)