年収1200万円の35歳女子が外資を捨てた理由

写真拡大


なぜ35歳の「独身外資女子」は年収1200万円を捨て、会社を辞めたのか。リスクはあるが、定期収入を得る道が見つかったからだ(写真:ABC/PIXTA)

今回、読者の皆さんにぜひお読みいただきたい「マネー相談」は、外資系企業に勤める独身女性のTさん(35歳)のお話です。

35歳という若さにもかかわらず、年収はなんと1200万円という高収入。相談に来た彼女は、「バリキャリ」のイメージとは程遠いかわいらしい女性でした。聞いてみると、幼少の頃は海外に住み、英語力はネイティブ並み。加えてITとマーケティング(市場開拓)のスキルにも長けています。高収入なのもうなずけるほどの彼女は、まさにエリートを絵に描いたような彼女ですが、深刻な悩みがありました。それは「頻繁に頭痛と吐き気が襲ってくるので、今の仕事が続けられないかもしれない」という不安だったのです。

高収入の一方「頭痛と吐き気」で将来が不安に

Tさんは、帰国子女としての語学力やITスキルを生かし、大学卒業後は数社の外資系企業を渡り歩きつつ、順調にキャリアを積み上げてきました。しかし、最近は、頭痛と吐き気が襲ってきて、ひどいときには、数秒も立っていられないというのです。もちろん、時には会社も休まなくてはならないほどで、病院にも行きました。すると、特別に重い病気が発見されたわけではなく、「長時間パソコンに向かっていることが多いので、極度の眼精疲労が影響しているのではないか」と言われたそうです。

医師のアドバイスに従って「パソコンに向かう時間を減らすと、症状は少し和らぐ」らしいのですが、仕事がはかどらず、フラストレーションがたまってしまうことから、一時的には休んでも、結局は長い時間パソコンに向かって仕事をすることに。そうすると、再び強烈な頭痛と吐き気が襲ってきて、仕事どころではないそうです。

こんな生活がかれこれ半年間も続き、最近はパソコンに向かうのが怖くなってしまい、「今の仕事を続けられないのではないか。本当のところ、私は仕事を辞めたいのではないか」と自分を責めるようにもなり、将来への漠然とした不安が募るようになったそうです。

Tさんの状況を聞き、無理をして現在の仕事を続けていくよりも、ほかの選択肢がないか、真剣に考えるほうがよいだろうと思いました。すでにTさんも次の仕事について考えていたようなので、聞いてみました。

するとTさんは、「できれば、あまりパソコンを使わない仕事をしたいですね(笑)。得意な英語を生かして子どもに英語を教えたり、外国人に日本語を教えたりするのもいいかなと思っています」とのことでした。今まで第一線で活躍してきたので、少し休みたいという気持ちもあるようでした。

確かに、語学が得意で好印象のTさんには、向いている仕事だと思いますが、問題は収入が大幅に減りそうなことです。現在Tさんは、1200万円の収入を稼いでいるので、数百万円単位で収入が少なくなってしまうと、生活に大きく影響します。高収入をあきらめるというのは、なかなか思い切れないものです。

Tさんもそれはわかっていて、「今のような生活は送れなくてもいいけど、趣味の旅行を楽しんだり、友達と遊びに行ったりできるくらいの余裕はほしい」とのこと。そこで、以前から気になっていた不動産投資を始めてみたいとのことでした。

「不動産投資で家賃収入」という選択は正しいか

なぜ、Tさんは不動産に興味を持ったのでしょうか。実は、職場には時折、不動産投資会社から営業の電話がかかってきていました。実際、Tさんの職場の同僚の中にも不動産投資をやっている人が多く、体調不良だったTさんは、「家賃収入」というキーワードが気になっていたとのこと。

「家賃収入だけで30万円以上入れば仕事を変えてもそれなりの生活はできる」と考えたTさんですが、ワンルームマンションに投資をしても、ローンを返済した後の月々の手取りは微々たるもの。物件によっては、毎月数万円の持ち出しになるものも多く、これでは不動産投資をする意味がありません。

そこで、Tさんは、毎月数十万円の収入を手にするために、アパートへの投資を考えました。部屋数はさまざまですが、アパートを1棟丸ごと買うか新たに建てようというわけです。とはいえ、アパートへの投資はワンルームマンションを購入して貸すことよりもハードルが高く、融資の金額も億単位になるので、1度失敗してしまうとその物件は大きなお荷物になってしまいます。そこで、Tさん、信頼できる不動産業者さん、私の3人で、資金計画から物件選びまで何度も慎重にミーティングを重ね、アパートへの投資をスタートさせました。

住宅ローンを組み、首都圏のある中古アパートを1棟買って経営に乗り出したのですが、ローン返済後の手取り収入は35万円程度になりました。これでひとまず、転職しても少しはゆとりがある生活を送れると安心したTさんは、転職を決意しました。これからは少しゆっくりしながら子ども向けの英会話教師になろうと、転職活動をするとのことです。現在は、つらい頭痛に襲われることも少なくなり、だいぶ体調が回復してきているようです。

不動産投資は物件の選定や業者選び、管理会社選びなど、多くのポイントがあります。Tさんのような高額のおカネを必要とするアパート投資はもちろん、通常のマンション投資でも決して簡単なことではありません。突き詰めると、不動産投資で成功するには、物件はもちろんですが、「いかによい条件で金融機関から融資してもらえるか」に集約されると思います。

よい条件の融資とは、(1)自己資金が少なくて済む、(2)低い金利で借りられる、(3)長い期間借りられる、の3つです。融資条件は、投資する物件の価値ももちろんですが、日本の金融機関の場合、勤務先や年収、資産の状況など、同じ物件を借りるのでも、融資を受ける人の属性によって大きく変わります。

その点、Tさんは、有名企業で年収も高く、勤続年数も8年以上と属性がよかったので、好条件で融資が下りました。 Tさん曰(いわ)く、「体調が悪くて早く会社を辞めたかったけど、会社にいるうちに不動産投資をしておいてよかった」とのこと。もし不動産投資をするなら好条件で融資が受けられる、いわゆる「属性がよいうち」にやっておくほうがいいでしょう。

転職がスムーズに決まらないと翌年おカネに困ることも

ほかにTさんの注意ポイントとしてはどんなことが挙げられるでしょうか。まずは住民税です。Tさんは、年収1200万円と高収入だったので、住民税の金額も年間100万円を超える金額を支払っていました。

住民税は、前年の所得に対して税金を支払う仕組みなので、しばらくは無職でも前年の所得分の住民税は支払う必要があります。Tさんのように、年収が高額で独身だと、月にならすと10万円以上の負担になるので、しっかり準備をしておく必要があります。

また、しばらく転職先が見つからないと、会社員時代にはなかった出費も重くのしかかってきます。たとえば会社員の場合、厚生年金、健康保険の保険料は会社が半分負担してくれますが、退職すると、厚生年金から国民年金になり、健康保険は2年間、退職した会社の保険の任意継続になるか、居住地の市区町村の国民健康保険に加入するかのどちらかになります。いずれにしても保険料は全額自己負担になります。

今回のTさんのように順調にキャリアを築き、高収入を得たとしても、人生はいつどうなるか、わかりません。今回の体調不良というアクシデントは、誰にでも訪れる可能性があるものです。ライフプランを立てるときには、こうしたアクシデントが起きた場合も想定して「第2のプラン」を考えておくことも大切です。