まるで優勝したかのようなお祭り騒ぎ。ニューカレドニアはFIFA主催大会初の出場で、初のポイントを掴んだ。(C)Getty Images

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[U-17W杯]日本1-1ニューカレドニア/10月14日/インド・コルカタ
 
 インドで開催中のU-17ワールドカップは土曜日にグループリーグ最終日を迎え、ベスト16が出揃った。U-17日本代表はグループBでフランスに次ぐ2位となり、ラウンド・オブ16でイングランドと戦うことが決定。8強進出を懸けた決戦は10月17日の火曜日だ。
 
 そのグループリーグ最終節で日本と1-1のドローを演じた相手が、ニューカレドニアである。メンバーを温存したとはいえ、日本にしてみれば格下相手に恥ずかしい内容と結果で、指揮官や選手たちからも反省の弁が多く聞かれた。その一方で、オセアニア第2代表は大喜び。FIFA主催に世界大会に初めて出場し、83分というタイミングで劇的な同点ゴールを決め、同国サッカー史上初の“ポイント”をゲットしたのだ。まるで優勝したかのような大騒ぎだった。
 
 米スポーツ専門チャンネル『ESPN』がマイクを向けたのが、今大会にニューカレドニアから唯一同行取材している『Nouvelle-Caledonie』紙のマルタン・シャルマソン記者だ。大会の4か月前から密着取材をはじめ、ドミニク・ワカリU-17代表監督の哲学やチームの近況を随時、紙面で紹介してきたという。
 
 シャルマソン記者は、ニューカレドニア出身ではない。もともとはフランス人で地元リヨンを中心に仕事をしていたが、10年前、“天国に一番近い島”に移住し、同紙で健筆を振るうようになった。今大会も当初は会社がインドへの派遣を渋っていたが、「ニューカレドニアのサッカー人口は1万2000です。しかも少年たち(選手たち)がこのワールドカップに出れるのは一生で一度なんですよ!」と言って上司を説得したのだ。
 
 FIFAは今大会から、欧州の出場枠を5から4に減らし、オセアニアの枠を1から2に増やした。UEFAの猛烈な反発を招いたが、ニューカレドニアはその恩恵を受け、出場権を手にしたのだ。AFCに組み込まれる前はオーストラリアに、それ以降はニュージーランド、あるいはタヒチなどが幅を利かせているオセアニア。国内でのサッカー人気は高いニューカレドニアだが、なかなか世界への壁は越えられないでいた。シャルマソン記者は「絶好の機会が訪れた。どんなカテゴリーであってもワールドカップ出場は大きな財産になる」と語る。
 
 だが、現実は厳しかった。グループリーグ第1戦で宗主国フランスに1-7で大敗を喫すると、第2戦のホンジュラス戦も0-5で落としてしまう。なにもかももが経験不足だったと、同記者は言う。
 
「どんな準備をして、どんなプランを立てて試合に臨むのか。すべてが手探りなうえ、スタッフ自体の経験値が低いから、選手たちもどうすればいいか分からない様子だった。でも、何事も経験が大事。そうなるかもしれないとは覚悟していたし、そこからなにを学ぶかが大事だと、ドミニク(監督)は話していたよ」
 そして日本戦を前にしたチームは、それまでの2戦とは見違えるようなポジティブな空気に包まれていたという。
 
「ドミニクは選手たちにこう伝えていた。『もっと激しく行っていい。闘志を前面に押し出せば君たちでも十分に闘える。そして、日本よりたくさん走らなければならない』と。そんなに難しい話はしていなかったよ」
 
 ボール支配とシュート数では圧倒されたが、球際では一歩も引かず、ロングカウンターで何度か日本を苦しめた。開始まもない7分に先制されながらも、集中を切らさず戦い抜いたからこそ、83分にCKから主将MFジェコブ・ジェノが同点ヘッドを決めることができたのだ。
 
 感涙にむせびながら、日本戦後に同記者はこう語った。
 
「本当にハッピーだし、子どもたちやスタッフにおめでとうと言いたい。ニューカレドニアにはアマチュアサッカーしかない。こんな大会でゴールを奪うこと自体が偉業だし、しかも日本のような強国の代表チームと引き分けたんだ。喜ばずにはいられない。最高のメモリーになったとともに、途轍もなく大きな一歩になるだろう。これからもこの国のサッカーの発展を見守っていきたい」