在韓米軍へのTHAAD配備に中国が反発していたことから、先行きが危ぶまれていた中韓通貨スワップ協定が延長された。韓国内では冷え込んでいる両国の関係改善にも期待が集まっている。写真は中国と韓国の通貨。

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2017年10月14日、金融危機時に通貨を融通し合う中国と韓国の通貨交換(スワップ)協定が13日、延長された。両国のスワップは10日に満期を迎え、在韓米軍への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備に中国が強く反発していたことから、先行きが危ぶまれていた。韓国内では冷え込んでいる両国の関係改善にも期待が集まっている。

聯合ニュースなどによると、契約期間(3年)と融通枠(560億ドル、約6兆3000億円)は従来と同じ。人民元ベースでは約3600億元となる。韓国の金東ヨン副首相兼企画財政部長は「11日に発効し、形式的には新規だが、延長と変わらない」と説明している。

韓国が働きかけていた延長が実現した背景について、中央日報は「中国としては対外的にTHAAD反対の立場を維持しつつも、ひとまず協力するべきところでは協力しようというようなツートラックアプローチの可能性が高い」との外交消息筋の見方を紹介。「人民元の国際化を推進する中国の立場でも、香港(4000億元)に続いて2番目に規模が大きい韓中通貨スワップを維持し、人民元の地位の強化に拍車を掛けることになった」ともみている。

中国との通貨スワップ延長を受け、韓国内ではぎくしゃくした両国関係の突破口になるのではないかとの関心が集中。外交部関係者は「通貨スワップ延長一つで、非常に画期的な局面転換まで期待するのは厳しい」としながらも、「少なくとも中国の立場では事態をこれ以上悪化させないというメッセージを与えることができる」と評価した。国際社会の非難をよそに核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対応でも中国の協力が欠かせないためだ。

韓国の外貨準備高は8月末時点で3848億ドルと世界9番目の規模。中国が3兆915億ドルで最も多く、日本(1兆2680億ドル)、スイス(7917億ドル)、サウジアラビア(4876億ドル)、台湾(4464億ドル)、ロシア(4240億ドル)、香港(4138億ドル)、インド(3978億ドル)に続いている。

中央日報は1997年のアジア通貨危機などを例に「外貨準備高がいくら多くても危機勃発時に外国為替が引き潮のように抜け出しかねない」と警告。「韓中通貨スワップの延長で為替安全網の柱の一つは維持することになった。それでも基軸通貨スワップで確実な安全網を構築する必要性は依然として残っている」として、日本や米国との協定締結を提言している。

しかし、日本との通貨スワップは15年に切れたまま。 昨年8月に交渉が再開されたが、今年1月に慰安婦像問題で日本が交渉中断を宣言している。韓国政府もあえて自分から通貨スワップ締結を「物乞い」したりはしないという立場だ。米国との協定も10年に終了。韓国は締結を望んでいるものの、米韓自由貿易協定(FTA)再協議も絡んで実現は困難な状況になっている。(編集/日向)