韓国軍の機密文書が北朝鮮とみられるハッカーによって大量に盗まれていたことが発覚。米軍からの情報や北の指導部を狙った「斬首作戦」に関する情報も流出したとされ、韓国紙は「北で起これば全員死刑」と批判している。資料写真。

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2017年10月14日、朝鮮半島情勢が緊迫化する中、韓国軍の機密文書が北朝鮮とみられるハッカーによって大量に盗まれていたことが発覚、物議を醸している。米軍から提供された情報も漏れた可能性がある。北の指導部を狙った「斬首作戦」に関する情報も流出したとされ、韓国紙は「北で起これば全員死刑」と批判している。

韓国メディアによると、昨年9月、北朝鮮からと推定されるハッカーが韓国軍のデータベース(DB)センターに相当する国防統合データセンター(DIDC)をハッキングして盗み出した文書は235ギガバイトに上る。A4サイズの紙で1500万枚に相当する量だ。韓国軍は流出したデータの総量自体は確認したが、どんな資料が流出したかは全体の22.5%に当たる53ギガバイト分(約1万700件)しか把握できていないという。

朝鮮日報は国会国防委員会で与党「共に民主党」の幹事を務める李哲熙議員の話として「流出資料には、米軍が独自に収集して韓国軍に提供した写真ファイルが多数含まれていた」と報道。代表例として「キーホール」(鍵穴)という別名で呼ばれるKH12偵察衛星が収集した情報などを挙げた。

KH12は、北朝鮮の300〜500キロ上空を1日に3、4回通過して内部の動向をつかむ。韓国の安全保障専門家は「この情報が韓国側のミスで北朝鮮のハッカーに渡ったのだとしたら、今後米軍が情報共有を避ける口実にされかねない」と危惧している。

さらに流出した情報には、金正恩・朝鮮労働党委員長らを殺害する「斬首作戦」ともいわれる「作戦計画5015」などの軍事機密が数多く含まれていたとされる。斬首作戦は有事の際、米国の増援部隊が韓半島(朝鮮半島)に到着する前に特殊部隊やミサイルなどを使い、朝鮮人民軍の司令部を攻撃するものだが、その細かい内容が北朝鮮の手に渡ってしまった可能性が捨てきれないわけだ。

こうした事態を受け、朝鮮日報は社説で「北で起これば全員死刑だ」と軍の対策の不備を厳しく非難。「これまで韓国軍では深刻な情報流出がさまざまな方面で起こってきたが、どれも単なる不注意や怠慢が原因だった。国の安全保障を米国に委ね、サラリーマンと何ら変わらない生活を送る韓国軍関係者のずさんな仕事ぶりは今やここまで落ち込んでしまったのだ」と嘆いている。

中央日報も「ハッキングの過程を見るとさらにあきれる。コンピューター・ネットワークセキュリティーの基本的な手続き3段階が全く作動しなかった。インターネット網と国防網の分離、セキュリティー点検、コンピューター・ネットワーク管制などがいずれも崩れた」と指摘。「北核危機が最高潮に達して北朝鮮に対する軍事オプションまで検討される中で最も敏感な作戦計画まで敵に奪われたとは国家安保が懸念されるばかりだ」と不安視している。 (編集/日向)