情報時代が到来するにつれ、「ガレージで始めたスタートアップ起業」が「シリコンバレードリーム」のおなじみのストーリとなっている。

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情報時代が到来するにつれ、「ガレージで始めたスタートアップ起業」が「シリコンバレードリーム」のおなじみのストーリとなっている。マイクロソフトやデル(Dell)などの大企業もそのようにして誕生した。学校をやめて起業するという、以前なら指をさされるような方法で起業する起業家も今は増え、大学生が起業して社長になるというサクセスストーリーも、Facebookの創設者であるマーク・ザッカーバーグらを描いた「ソーシャル・ネットワーク」のように映画化されている。(文:張燕。瞭望東方周刊掲載)

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世界の多くの若者が「社長」になることを夢見ているものの、日本ではそのように鼻息を荒くする若者をほとんど見かけない。人材サービス会社・ランスタッドが33の国や地域で行った労働者意識調査では、多くの日本人は「社長」になることを望んでいないことが分かった。

▼若者は起業を望まないのに対して高齢者は意欲的

起業には失敗がつきものであるものの、日本の文化では、「失敗」はとても恥ずかしいことと見なされ、起業するには全体的に良い雰囲気とは言えない。世界のユニコーン企業(企業評価額が10億ドル以上のベンチャー企業)145社のうち、日本の企業は1社もない。2015年、日本で新しく立ち上げられた会社が得たベンチャーキャピタル基金は約10億ドル(約1120億円)だったのに対して、米国は590億ドル(約6兆6080億円)だった。

経済発展を促進するために、日本政府は現在、国民に起業するよう奨励し、企業家の精神を復活させるよう取り組んでいる。例えば、17年1月、東京都は起業したばかりの会社を支援するために、7億円の予算を確保した。

政府からの援助があるにもかかわらず、日本の起業率は未だに4%と、欧米諸国の半分にも達していない。公益財団法人・日本生産性本部が新入社員を対象に実施している調査では、「将来の自分のキャリアプランを考える上では、社内で出世するより、自分で独立して起業したい」と考える人が減っており、03年は31.5%だったに対して、16年には10.8%にまで減少した。そして、新しく会社を立ち上げた企業家を見ても、30歳以下は減少しており、30年前の57%から36%にまで減っている。

同調査では、新入社員である若者が自分で会社を立ち上げることを望まない傾向が、ここ約十年で最も強くなっていることを示している。

しかし、日本のおもしろいところは、若者が「社長になる」ことを望んでいなくても、会社で退職まで働きとおした高齢者の「もう一花咲かせよう」という思いは強く、その起業意欲は若者より高いという点だ。

起業家のうち、60歳以上の高齢者が増えているというのが近年の日本の新たな動向となっている。日本経済産業省・中小企業庁の報告によると、30年前と比べて、高齢者が起業家に占める割合は8%上昇した。

起業する高齢者の増加は、日本の人口構造や高齢化とも関係がある。日本総合研究所の野村敦子主任研究員は、「高齢の日本人は、自分の知識や経験を仕事で効率よく活用し、充実した晩年を送りたいと考えている。また、高齢者は若者に比べて起業に使える資金も持っている」と分析している。

厚生労働省の調査「60歳以上の高年齢者の雇用状況」を見ると、退職後も働いている高齢者が年々増加しており、10年間でその数は2倍以上増加した。

日本政策金融公庫の調査では、シニア起業家が従事している主な分野は、コンサルティング、飲食業、旅館業などで、自分の仕事経験を活用し、顧客にマネジメントコンサルティングやその他の企業サービスを提供している場合が多い。一方、自分の本職とは関係のない分野に従事している人も4分の1いる。

高齢者の起業は夢があるように聞こえるかもしれないが、市場の研究や経営の方向性、資金調達など、乗り越えなければならないハードルも多く、すでに一定の思考パターンができている高齢者にとっては、一からの勉強が必要になる。

シニア起業家を援助しようと、安倍首相は「起業塾」の展開に取り組んでいる。政府の委託を受けた地方の金融機構や工商団体、弁護士、税務専門家、起業家などが講師となり、起業のための講座を開き、高齢者が起業する際に生じる難題を解決できるようサポートしているのだ。

また、日本政府は、助成金制度などの対策を講じて、シニア起業家をサポートしている。例えば、60歳以上で、高齢者を従業員として雇用する会社を立ち上げる場合、最高で200万円の助成金を支給するプロジェクトを行っている。(提供/人民網日本語版・編集KN)