@AUTOCAR

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もくじ

はじめに
ー 「困難だからこそ挑戦するのだ」

1日目
ー 日産サンダーランド工場へ
ー JLRヘイルウッド工場へ
ー ヴォグゾールにも少しだけ
ー ベンテイガはアルナージを想起?

2日目
ー ベンテイガ、まさかのジャガーと見間違え
ー アストン マーティンのゲイドン工場へ
ー モーガン 文字通り「工場」へ
ー ホンダ→ミニ それぞれに個性

3日目
ー アリエルの工場 堅実なビジネス学ぶ
ー ロールスからマクラーレン(遅刻)
ー トリを飾るのは「あの」メーカー

3日目

アリエルの工場 堅実なビジネス学ぶ

ラストスパートは再びのロングドライブで始まった。殆ど交通量の無いA303にのってサマセットにあるアリエルの工場を訪ねるのだ。

「工場」という言葉はクルーカーンの外れにあるアリエルの作業場には大げさすぎる。ここには背の低い工作機械が何台か設置されているだけだ。

全車両はそれぞれひとりの作業員によって部品の入荷から全て手作業で作られており、アトムとノマドの場合、組立作業時間は150時間から200時間に達する。

この作業時間は仕様によって変わってくるが、エースのバイクよりも若干短い程度である。数台の車両とビンテージのアリエル製バイクが置かれたショウルームを除けば、ここには飾りっけなどまるで無い。

アリエルの成功の秘訣は自社の顧客を知り、コストを厳格に管理し、過剰に拡大しないことにある。新車のアトム又はノマドを手に入れるには14カ月のウェイティングリストに並ぶ必要があるのだ。

「最初の6年間は週£100(1万4千円)で仕事のやり方を学んでいました」と言うのは、トム・ジーベルトである。彼は創設者であるサイモン・サンダースの息子であり、工程管理者だ。「お金じゃないんです。大金持ちになるためじゃないんですよ。僕のクルマは2002年式の日産マイクラですから」

ロールスからマクラーレン(遅刻)

サウサンプトン周辺のかつてはフォード・トランジットの工場が埋めていた地区を越え、われわれがグッドウッドに到着したのはリバイバルが始まる1日前だったにも関わらず、路上は既に素晴らしいクラシックカーたちで溢れていた。

印象的なロールス・ロイスの工場の外にはスタッフによる点検を受けるため、12台ものファントムが並んでいた。2005年当時、ほぼ新築の工場では年間わずか500台のファントムが生産されているにすぎなかったが、今日ではその車種は4つに増え、年間の生産台数は4000台に達する。

残すは3工場だが不運と混雑する道路がわれわれを苦しめ始めた。ウォーキングにあるマクラーレンの工場に向かっているのだが既に30分の遅刻である。

ブルース・マクラーレンの娘であり、ブランド・アンバサダーであるアマンダにガイドツアーをお願いしていたのだが、時間の関係で壮大なマクラーレン・テクニカルセンターを囲むように設けられた通路上に置かれた車両を撮影するだけで終わってしまった。

これまでの訪問を通じて、隣接するマクラーレン・プロダクションセンターはいわゆる自動車工場というよりも、手術室といった趣であることがわかっている。もし、マクラーレン・プロダクションセンターを訪問するチャンスがあれば絶対に逃すべきではない。マクラーレンほど自分たちのブランド価値をその本社で表現している自動車会社は無いのだから。

トリを飾るのは「あの」メーカー

すぐにベンテイガは再び東を目指し始めたが、M25は交通量を増してわれわれのスケジュールをますます遅らせたのである。マクラーレンとケーターハムの違いはほぼ全てに渡る。ダートフォード工場に向かう道には大破したシトロエンが放置されていた。サイネージと外に並べられたセブン以外には、全く工場を示すものは無い。

しかし、アリエル同様、ケーターハムもまた自分たちの顧客を知っており、彼らが望むものを提供することで44年間も繁栄してきたのである。従業員と生産台数は2005年から殆ど変わっていない。

しかし時間はわれわれの味方ではなく、ますます増える交通量が、日没くらいにしかヘーゼルにあるロータス工場へ着かないと語っていた。

ベントレーのお陰でストレスレベルは依然として低いままであったが、ナビが突然の故障に見舞われて、スクリーンには奇妙なパターンが表示されるだけとなってしまった。それでも道案内はしてくれるようだ。

幸いにもケンブリッジを通過する頃には交通量が減り始め、最近拡張されたA11のお陰でベントレーはその大陸横断性能を見せつけることとなった。

ヘーゼルに近づくにつれ日中の明るさは失われていったが、広報マネージャーのアラスター・フローレンスはわれわれのために遅くまで待っていてくれた。

そこには奇妙な雰囲気が漂っていた。ダニー・バハーがCEOだった時代に始めた拡張工事の骨組みが半ば完成したまま、メインの組立エリアの横にそのまま放置されているが、ヘーゼルの潮目は最近変わりつつある。

セールスが上向いて来ており、更にはジーリーによる買収の発表もあった。手放しで喜ぶにはまだ早いものの、この辺りでわれわれの旅を締めくくることにしよう。

今回われわれは巨大な多国籍企業から、英国を特徴付ける小規模メーカーまでを幅広く訪問することで、英国の自動車業界の規模と重要性を再確認した。これは誇るべき伝統であり、次の12年間もこの伝統が守られることを願っている。