U-17日本代表は14日にニューカレドニアと対戦する【写真:Getty Images】

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「ギラギラ、メラメラしたところを見せて」

 U-17日本代表は14日、U-17W杯のグループステージ最終戦でニューカレドニアと対戦する。実力的には格下の相手であり、決勝トーナメント進出を考えても勝利が必須の試合。先発メンバーの大幅な入れ替えが予想されるが、そこには大きな意味合いがある。世界の強豪と戦えるチームになれるか否かがかかった重要な一戦だ。(取材・文:舩木渉【コルカタ】)

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 ピッチ上での「流れ」は、刻一刻と変化していくものであり、それに乗り遅れれば則ち進む先は敗北である。

 11日に行われたU-17W杯のグループステージ第2戦、フランス戦は日本にとってまさに「流れ」に乗り損ねた一戦となった。日本の戦い方を徹底的に研究してきた相手に対し、試合の中でその上をいく対策を講じられなかったのである。臨機応変さに欠けていた。

 フランス戦の3日前、大会初戦で対戦したホンジュラスは非常に素直なチームだった。戦い方は日本側が事前にスカウティングして掴んでいたものと変わらず、試合の中で劣勢に立たされても、相手がこちらをひと泡吹かせようと動いてくることもなかった。だが、グループステージを越えた先にそんな素直なチームはいない。どの国も曲者揃いで、少しでも相手を上回ろうと策を巡らせてくる。

 そういった意味で、14日のニューカレドニア戦は日本が「プランB」を探すための重要な試合となる。先発メンバーを大幅に入れ替え、これまで出場機会の少なかった選手たちを送り出すのには、主力として奮闘してきた面々に休養を与えるだけでなく、決勝トーナメント以降も世界を相手に戦える選手をふるいにかける目的もあるのかもしれない。

 森山佳郎監督は「当然勝たなきゃいけないゲームなんですけど、ゲームに飢えているいる選手もいますし、そういう選手に勝利が必要なプレッシャーの中で、ノックアウトステージに向けて『俺がキープレイヤーだ』というギラギラ、メラメラしたところを見せて欲しい」と、ニューカレドニア戦出場予定の選手たちに発破をかけた。

 またニューカレドニア戦は「最終目標はA代表とか、世界に羽ばたける選手というところ。いろいろなことがあるでしょうけど、まずは個人で自分のやれることを大きくするチャレンジをさせることが、選手たちの将来に密接に関与してくると思う。やり方、方法で縛るんじゃなくて、とにかく自分の武器をチームのために、チームのプラスにならなかったらいけないし、チームの勝利につながる武器を増やして、大きく成長して欲しい、それだけです」という、指揮官からの期待も込められた人選になるだろう。

フランス戦から先発メンバー9人変更へ

 13日の練習を見ている限りでは、GKに初招集の梅田透吾(清水ユース)、DFは右から池郄暢希(浦和ユース)、馬場晴也(東京Vユース)、監物拓歩(清水ユース)、鈴木冬一(C大阪U-18)、ダブルボランチに山粼大地(広島ユース)と福岡慎平(京都U-18)、右サイドに中村敬斗(三菱養和SCユース)、左サイドに椿直起(横浜FMユース)、FWに山田寛人(C大阪U-18)と棚橋尭士(横浜FMユース)という11人が先発でピッチに立つことになりそうだ。

 これまで全く出番のなかった選手は4人(梅田、監物、山粼、棚橋)。GKが3人いることを考えれば、フランス戦からフィールドプレーヤー8人とGKを合わせた9人のスタメン変更というのは、チームの全てが変わったと言っても過言ではない。

 その中で誰が輝くのか。これまでサブになることが多かった選手たちに話を聞くと、一様に「悔しい」と口をそろえる。非常に雰囲気のいいチームで、一体感も際立つが、個人と対話を重ねると試合に関われていないことへの悔しさをそれぞれ持っていることがわかる。いい意味で競争が成り立っていると言えるだろう。

 フランス戦は終盤からの途中出場だった椿は「今までやってきたことがあの試合(フランス戦)で出せなかったのが一番大きくて、映像を見ても当たり前にできていたことが、あの舞台で出せないというのが課題だった」と話す。

 そんな彼は、チームに数少ないドリブラーである。試合の「流れ」を変える「プランB」になりうる選手だが、フランス戦は時間が短かったこともあり、持ち味を生かしきれなかった。それだけにニューカレドニア戦にかける思いは強い。
 
「僕の特徴はドリブルだと思うし、もちろんドリブルにこだわりはある。海外の選手とやると通用する部分と通用しない部分がハッキリしてくる。フランス戦では自分の特徴を出せず、いい刺激になった。明日の試合はその経験も踏まえて自分の特徴を出せたらと思います」

 武器であるドリブルをしっかりと見せ、世界の舞台で輝けるところを証明すれば、今後のチームに取っても椿の存在価値はより大きなものになる。一度W杯のピッチを経験した背番号20は「楽しんで、自分のプレーを見てもらうようなイメージでプレーできればいいなと思います」と、勝負の一戦を前にリラックスしていた。

初招集GKにもチャンス到来。「覚悟」を示せるか

 今大会がU-17代表初招集となったGK梅田も、ようやく巡ってきたチャンスに燃えている1人。「プレーするときは、どうだろうと自分は自分で、周りは関係あるんですけど、自分を出せばいい。そうすればチームにも貢献できる」と、静かに闘志を燃やしている。

 ニューカレドニア戦に先発するかは「本当にわからない」と語ったが、「フランス戦は負けてしまって悔しかったし、その試合に出場できなかったこともとても悔しかった。このW杯、何か残したい。出場するのがまず目標、出場したいというのが自分の心の中に一番ある」と言葉に力を込める。

「特別何かしようというのはないので、普段やってきたことをそのままピッチで出せれば何も問題ないと思う。それだけ頑張りたい。W杯の舞台なので緊張はするんですけど、自分を出せればいい。最後は自分がプレーするので、そこだけしっかりしていれば、周りの状況はどうにでもなるかなと思います」

 とにかく落ち着いていて、初招集とは思えない雰囲気を醸し出している。第2GKという状況だが、招集を知って「覚悟を決めた」という泰然自若の守護神がチームにプラスのエネルギーをもたらしてくれるかもしれない。

日本に必要な「プランB」。流れを支配するチームになるために

 右サイドバックでのスタメン出場が濃厚な池高も「1戦目も2戦目もスタメンを獲れなくて悔しかった」と、素直な気持ちを吐露する。練習中も森山監督に個別でアドバイスを求めるなど、成長への貪欲さが感じられていた。

 ホンジュラス戦では「少し緊張した」というが、途中出場でも「自分はやれると思ったので、自信を持ってできた」と胸を張る。ニューカレドニア戦に向けて「監督も推進力があると言ってくれているので、攻撃で得点に絡むプレーをしたい」と、眼光鋭く意気込みを語った。

 これまで本職は中盤ながらユーティリティ性を備えた選手たちがサイドバックを務めてきた。池高は純粋な数少ない右サイドバックであり、攻撃面に際立った特徴を持つ。「特に守備の立ち位置を成長したいので、今出ている喜田選手や菅原選手の動きをしっかり見て、自分のものにしたい」と短期間でも自分の能力を伸ばそうと必死に練習に取り組む。とにかく貪欲な背番号2のブレイクスルーはチームにとっても大きなプラスになるだろう。

 椿、梅田、池高の3人だけでなく、ニューカレドニア戦でアピールを狙っている選手はたくさんいる。もちろんベンチスタートになるこれまでの主力組も虎視眈々とチャンスをうかがっており、簡単にポジションを譲るつもりもないだろう。

 メンバー変更と競争の喚起で、日本は「プランB」を手にすることができるだろうか。試合の「流れ」を臨機応変に支配できるチームになることが、グループステージ突破、そして決勝トーナメントを勝ち抜いていく上での必須条件だ。

(取材・文:舩木渉【コルカタ】)

text by 舩木渉