都内の胃腸消化器クリニック医師はこう話す。
 「新しい方法は、近い将来には小さなポリープ切除の標準的なものになるでしょう。しかし、ポリープの下層にがんが浸潤している場合もありえます。取り残しても熱でがんが壊死しやすい従来の方法と比べ、新手法はそのままがんが残ってしまう恐れもあります。ですから、拡大内視鏡などで十分な治療前診断をしっかりとおこなう必要があります」

 日本消化器病学会のガイドラインでは、6ミリ以上のポリープの場合の切除を推奨している(がんの疑いがある物や進行が早い陥凹型は5ミリ以下でも切除)。
 「ただし、発見されるポリープは約半分以上が6ミリ未満のものとされ、多く見つかるほど再発やがん化のリスクは高まると言われています。そのため、ここ数年では、ポリープをすべて切除する“クリーンコロン化”を推す病院も多く見られます」(前出・健康ライター)

 こうした背景にあるのは、'12年に米国で発表された研究結果があると言われる。すべて切除しクリーンコロン化した患者2600人を、平均16年間にわたって追跡調査した結果、大腸がんによる死亡率が53%減少。がんの発症は76〜90%抑えられたという。
 欧米では、クリーンコロン化を前提に治療のガイドラインが作られ、すでに標準的な治療になっているという。

 日本では、大規模な臨床研究が10年ほど前から始まっている。
 「二度にわたってポリープをすべて切除した40〜90歳の患者約1400人を2群に分け、一方は1年後と3年後に、もう一方は3年後に再調査したのです。'15年に発表された結果によれば、がんなどの発症率はいずれもわずかな差しかなかった。現在は1年後に再検査することが多いのですが、すべて切除すれば3年以降でよいと結論付けられています。ポリープをすべて切除すれば再検査の間隔が広がり、患者の負担が減るうえ、大腸がんの発症や死亡の抑制も期待できるということです」(同)

 大腸ポリープができる原因は、高カロリーや不規則な食事、食物繊維の不足、さらにはストレスなど様々な理由があると言われる。今回説明した治療を避けるためにも、まずは日頃から体調管理に気をつけ、健康診断では検便の結果に注目することだ。