大腸にできるイボのようなものを大腸ポリープといい、これを放置すると成長し、がん化する恐れがある。悪性化の危険性がある場合は、内視鏡で直ちに切除する。その治療は、金属の輪などを使って簡単に切り取る方法も広がり、がん化の抑制につながっている。

 最近の調査では、がんの中でも一番多いと言われているのが大腸がん。以前は、レントゲンで撮影する「注腸検査」というものが一般的だった。
 「ただし、その検査方法の場合、バリウムが臓器全体に行き渡らないため、ポリープが正確に発見できませんでした。また、バリウムを送り込んで腸を膨らませるのにも時間が掛かるため、患者に敬遠されてきたのです」(健康ライター)

 それが現在は、大腸内視鏡検査へ移行され、バーチャル内視鏡検査やカプセル内視鏡による検査が広がるようになった。ただし、切除代を含めると高額なうえ、それらの装置はどこにでもあるわけではない。
 医学博士の内浦尚之氏はこう言う。
 「がんによる死亡者は年々増え続け、2年前の2015年で約37万人と言われています。それだけ深刻なだけに、癌学会を中心に対策と研究に力を入れ、治療法を追究してきました。今では内視鏡を使ったものや金属の輪を使った切除法などが一般的になり、かなりの成果を上げています。がんの基になるポリープをいち早く除去することは、将来のがん患者を減らすことにつながると思っています」

 横浜市の自営業、西川徹さん(=仮名・65)の治療例を紹介しよう。昨年末、自宅近くの医院で便潜検査を受けたところ異常が確認され、大腸ポリープが6つ見つかった。
 大腸ポリープは、8〜9割が良性の「腺腫」だが、前述のように大きくなるとがん化の恐れがある。そこで、紹介された大学病院で内視鏡から送り込んだ輪っか状のワイヤーでポリープの根元を絞り込んで切る「コールドポリペクトミー」と呼ぶ新しい方法で、直径3〜6ミリのポリープを4つ取った。さらに大きめの2つは、ワイヤに電流を流して熱で焼き切る従来の方法で取った。ともに痛みはなく、手術は約1時間で終わった。

 西川さんは、そのときの印象をこう話してくれた。
 「もちろん麻酔が効いていたので詳しくは分かりませんが、家族の話では早かったようです。1時間ぐらいで終わったと言ってましたし、痛みはまったく感じませんでした。その後の病理検査でポリープは最大2センチあり、がんは見つからなかったそうです。当初はショックでしたが、将来がん化する可能性のポリープをすべて取れて安心しました」

 大腸がんで亡くなる人は年間約5万人。これは、肺がんの約7万人に次ぎ二番目となっている。その多くはポリープから始まるもので、11の医療機関が参加して6000個以上のポリープを調べた大規模臨床研究によると、5ミリ以下0.2%、6〜9ミリは3.1%、10ミリ以上は31.4%からがんが見つかったという。
 「つまり、大きくなるに従いがん化している可能性が高いということです。そのため、ポリープが見つかった場合は、一定の大きさ以上は予防のため切除することになる。ポリープの茎部分にワイヤーをかけて焼き切る手法が主流で、茎がない平らな場合は、粘膜の下層に生理食塩水などを注射して盛り上げ、同じように切り取ります。ただし、この方法は、血管が通る層に熱が伝わってやけどが広がり、切除の数日後に出血や大腸に穴が開く合併症の恐れもある。一方、熱を使わない新手法は、そのリスクを抑え、治療時間も短いのが利点と言えます」(前出・内浦氏)

 「コールドポリペクトミー」は欧米で広がり、日本では器具が承認された'13年から急速に普及した。ガイドラインは定められていないが、大きさは「10ミリ未満の良性腺腫」が一般的なのだという。