仮想現実(VR)を体験できるヘルメットを頭部に装着し、右手にはレバーを握っている。

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仮想現実(VR)を体験できるヘルメットを頭部に装着し、右手にはレバーを握っている。上海市高境麻薬中毒強制隔離・回復センター評価・診断室では、麻薬中毒患者がこのようなVR技術を利用した診断・評価を受けていた。傍らにあるコンピューター画面には、麻薬中毒治療を受けている患者の眼球の動きに関するデータなど、各項目の生理的指標が表示されていた。法制日報が伝えた。

VR技術による麻薬中毒治療システムは、上海市が麻薬中毒治療のための科学的イノベーションを追求する上で導入した新ハイテク技術であり、上海市戒毒(麻薬統制)管理局、上海市精神衛生センター、華東師範大学心理・認知科学学院、上海青研科学技術有限公司の研究開発によって誕生した。同システムの導入によって、麻薬中毒患者は安全かつコントロール可能な環境下で、認知機能障害からの回復・治療を受けることができる。

麻薬統制警察官の李栄健さんは、次の通り紹介した。

「VR技術を利用して麻薬中毒患者に対する診断・評価を進める前に、患者は現時点での薬物欲求に関する主観的評価を行う必要がある。その後、患者は、麻薬、麻薬吸引器、普通の物品が置かれたVR空間に身を置く。システムは、患者の眼球の動きに関するデータ、心拍数、皮膚の帯電量などの生理的指標を記録する。VR空間での体験終了後、患者は再び、自身の薬物欲求を自己評価する。システムは、眼球の動きや生理的分析の結果や数値に関する評価結果をベースとして、患者の中毒の程度を評価し、中毒評価報告を作成する。

評価報告が完成すると、患者はVRシステムによる麻薬依存のリハビリを進める。リハビリは、矯正トレーニング、認知回復トレーニング、社会適応トレーニングに分類される。

矯正トレーニングでは、VRヘルメットを装着した患者は、ホテルやカラオケで麻薬を使用するシーンを360度パノラマで体験する。そのシーンの中には、麻薬を吸引する写真や麻薬吸引道具などの麻薬関連物品が映し出され、患者の麻薬使用欲求を誘発する。また、患者は、麻薬使用前後の人間の顔・身体を比較した刺激的な動画を閲覧することで、麻薬が身体に及ぼすダメージを再認識する。それによって麻薬を使いたいという衝動を抑えることが可能となり、矯正トレーニングの目的を達成できる。

認知回復トレーニングでは、VR空間内で、患者は自然の風景を360度パノラマで体験し、患者が良からぬ感情を持たないようにするためにサポートする。素質を改善するVR空間では、患者がやるべき任務を全うし、自信や意志力を強めるよう激励する。

社会適応トレーニングの段階では、家庭や社会生活に復帰したいという患者の願いを喚起する。システムによってリアルな家庭や社会のVR空間を作り出し、患者が温かく調和のとれた家庭や社会的ムードを創造し、患者の気持ちを緩やかに回復させる。

上海市精神衛生センターの趙敏教授は、「VR技術は新たな麻薬治療方法である。その没入感とインタラクティブ性によって、麻薬中毒患者にVR空間での安全かつコントロール可能なシーンを提供し、リアルタイムで観測データを収集し、一定方向に導く。カスタマイズ化と精密化を目指す麻薬治療に、理論面での方向性と実践面での有効な方法を提供している」とコメントした。(提供/人民網日本語版・編集KM)