ケルンはいまだ未勝利で最下位に低迷。「試合に出ているだけではダメ。勝てるようにしたい」と大迫勇也は、自分自身の責任を痛感していた。(C)Getty Images

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 まさに悲劇……流れが悪い時はこういうものなのか。FW大迫勇也がフル出場したケルンが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によるビデオ判定に泣き、あと一歩まで迫った今季リーグ戦初勝利を逃した。
 
 シュツットガルトに先制点を許したケルンだが、65分に2枚目のカードでFWギラシーを投入すると、CFで先発していた大迫は4-4-2のボランチに入る。攻撃時にはやや高めにポジションをとり、アウェーチームが反撃に転じた。
 
 すると大迫が足元にしっかりボールを収め、サイドチェンジで揺さぶる。そのプレーが起点になり、77分、左サイドを駆け上がったハインツの豪快なミドルでついに同点に追いつく。
 
 さらに90分、ゴール前で後方から足を蹴られたギラシーが倒れると、ベンヤミン・コルトス主審が笛を吹く。シュツットガルトのファウルで、ケルンにPKを与えたのだ。
 
 これが決まればついにケルンが逆転。初勝利なるか――。
 
 ところが!! このギラシーが倒れたプレーがビデオ判定に持ち込まれる。主審自らが画面でチェックするなど長い時間をかけて協議した結果、主審はPK判定の「無効」を宣告したのだ。
 
 さすがにこの判定がケルンに与えたダメージは大きく、90+4分、ホームチームに劇的な形で決勝ゴールを奪われてしまう。ケルンは劇的初勝利どころか、またも敗戦を喫してしまった。0勝1分7敗で、最下位のままだ。
 
 試合後に肩を落としてピッチを去った大迫は、ビデオ判定について自身の考えを示した。
 
「サッカーではない感じがある。(ビデオ判定は)好きじゃない。流れがあってのサッカーだと思うから。難しい……。審判のいる意味がない。機械に裁かれている感じがする」
 
 大迫は唇を噛み締める。
 
「PKと一度言われた90分からの(チーム全体の感情の)浮き沈みは激しかった。ただ、そこでやられてしまうのは僕らの責任。悔しいですね……」
 
 前半に訪れた決定機をモノにできなかっただけに、大迫は責任を痛感していた。

「試合に出ているだけではダメ。本当に勝てるようにしたい」

 もがき苦しむケルンの背番号13は、自身を厳しく責めながらも前を向こうとしていた。
 
取材・文:塚越 始