photo by Zarateman(Public Domain)

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 カタルーニャ州の独立に関係した問題は毎日新しい動きが観察されている。その中で一番注目を集めているのがカタルーニャから企業が軒並み州外に去っていることである。(参照:「バルセロナから企業は去り、外国観光者も敬遠し始めている〜カタルーニャ独立問題の暗い影」)

 もちろん、企業の州外移転が話題になり始めたのは、2012年、独立支持派の2政党の連携政権が「カタルーニャ共和国」の建国への意欲を表面化させた頃からあった。ただ、この現象の対象になっていたのは主に中小企業ということもあって、カタルーニャの独立問題を取り上げる際のひとつの現象として報道のネタとなっていただけであった。

 ところが、上記記事で報じたように、10月に入ってカタルーニャを代表する2大銀行、カイシャバンクとサバデル銀行が州外に移転を決めたことを発表してから、大手企業もそれに続けと本社を州外の他の都市に移し始めたのだ。ここに及んで、これは将来のカタルーニャ経済に深刻な影響を与えることになるという不安が生まれ赤信号が点灯したのである。

◆カタルーニャの2大銀行

 カイシャバンクはカタルーニャの象徴的な銀行で、カタルーニャの発展をそのまま表現したような銀行である。その規模はもはやカタルーニャにとどまらず、現在、スペインを代表する3大銀行の一つになっているほど。年間の入金総額67億5300万ユーロ(8兆7800億円)で、社員32403人を抱えている。

 一方のサバデル銀行も、規模は大きく、入金総額51億7010万ユーロ(6兆7200億円)で、社員17000人だ。

 このカタルーニャの2大銀行であるカイシャバンクとサバデル銀行は、2年程前からスペイン政府とカタルーニャ州政府に向けてカタルーニャが独立するようなことになれば、銀行はその影響から逃れるために強硬な手段を取ると示唆していたという。しかし、両銀行もまさか州政府が独立国と成る為に過激な方向に向かうとは想像していなかった。(参照:「Cinco Dias」)

 10月1日の住民投票については、EU委員会でさえも、その結果は正当性を欠くと評価した。しかし、州政府はカタルーニャ共和国の建国への意欲は依然として衰えることがない。独立宣言は間近かに行うつもりだとしている。

 州政府が議会の過半数の議席を利用して可決させた独立の為の立法には、住民投票で僅か1票でも独立賛成が反対を上回れば48時間以内に独立宣言をすると規定されていたのである。

 この段に及んで2大銀行は遂にまさかの事態に備えて計画していたプランを実行に移すことを決めたのである。両銀行のトップ、バンカイシャのファイネ前頭取とサバデルのオリウ頭取は危機の場合には一緒に行動を取ることも決めていたようだ。

◆2大銀行移転までの急な展開

 住民投票が行われてからの2大銀行の決断は早かった。

 サバデル銀行の移転決定までの流れはこうだ。

10月1日 住民投票実施。
10月2日 州政府は独立票が投票率の90%を獲得したとして勝利宣言(有権者数から見ればそれは38%の支持率だったがそれは無視)。バンカイシャとサバデル銀行の株価の下落は続いた。
10月3日 州政府が音頭を取ってゼネストを実施。
10月4日 国王フェリペ6世がスペイン憲法を尊重すべきだという声明を発表。
10月5日 サバデル銀行が登記上の本店をバレンシア州のアリカンテ市に移転を決定。

 サバデル銀行は9月半ば頃からカタルーニャ州の支店で資金の流出を観察していた。そして、それが次第に頻度を増していたのも把握していたのだ。他の銀行でも同様の動きがあるという情報も入手し、臨時の取締役会を開き、本店をバレンシア州のアリカンテ市に移すことを決めたという。移転先はアリカンテ市で2012年に吸収合併したCAM銀行の本店があった所である。