一癖も二癖もある選手が揃うチリ。そんなチームを指揮したサンパオリも、相当なストレスを溜めていたようだ。 (C) Getty Images

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 南米王者のチリがワールドカップ出場を逃すことは、至極当然だったのかもしれない。かつて同国を率い、現在はアルゼンチン代表を指揮するホルヘ・サンパオリが2年前、親しい記者に明かした衝撃的事実をチリ紙『Las Ultimas Noticias』が伝えている。
 
 サンパオリは、2012年に自身が師事するマルセロ・ビエルサの後任として、チリ代表監督に就任し、2015年に行なわれたコパ・アメリカでは同国を南米初制覇に導いた。しかし2016年1月、チリ・サッカー連盟から突然の契約解消が発表された。
 
 今回、Las Ultimas Noticias紙で、2015年時にサンパオリがチリ代表に対してこぼしていた不満をリークしたのは、セルジオ・ギルバート記者だ。同氏によれば、「大きな変化がない限り、チリはロシア・ワールドカップを逃す」と、サンパオリは南米王者の失墜を予想していたという。
 
 何がサンパオリに不満を抱かせたのか? それは、南米王者に輝いてから出始めていたという“気の緩み”だ。同紙には、主力選手たちの怠慢さに対する、完璧主義者のアルゼンチン人指揮官のコメントが綴られている。
 
「アルトゥーロ・ビダルは、酒が好きすぎるんだ。もはや、医者を必要とするレベルで、自己管理ができていない。以前にリマ(ペルー)から戻る飛行機の中で、彼は私にビールを差し出して『飲むか?』と聞いてきた。私はそれを断ったが、彼はさらにウイスキーも手にしていた」
 
 醜態を晒していたのは、中盤のダイナモだけに止まらない。サンパオリの愚痴は、なおも続く。
 
「ガリー・メデルは外出して楽しい時間を過ごし、酒に狂っていた。エドゥアルド・バルガスは、チリに戻ってくるたびに酷い有様になっていくし、マウリシオ・ピニージャに至っては、パーティーのことしか頭にない。頼みのアレクシス・サンチェスはヘッドホンを携帯し、食事の時ですら話をしないんだ」
 
 サンパオリはチームを変えようと、2015年のコパ・アメリカ終了後にチリ・リーグの有力選手を招集しようとしたが、各クラブから拒否されてしまい、代表監督の座も降ろされたという。
 
 チリは2016年のコパ・アメリカ・センテナリオでも優勝したが、前監督が明かしたような状態が続いていたのだとしたら、チームが沈むのも時間の問題だったわけで、ロシア行きを逃したのも当たり前と言えるかもしれない。