『アウトレイジ 最終章』が初登場1位 北野武監督は今や“安定したヒットメイカー”に

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 1位に『アウトレイジ 最終章』、2位に『ナラタージュ』、実写日本映画が初登場でワンツーフィニッシュをきめた先週末の動員ランキング。注目すべきは、そんな初登場作品の煽りを受けて前週までの上位作品が軒並みランクダウンした中、前週7位の『ドリーム』が好調を持続して6位にランクアップしていること。先週の当コラムでも取り上げたように、万人向けの娯楽作品でありながら、現在のハリウッド映画における数々の重要イシュー&トレンドをふまえた、このような文句のつけようがない秀作がロングヒットの兆しを見せていることを歓迎したい。

 1位の『アウトレイジ 最終章』は土日2日間で動員25万人、興収3億5200万円と絶好調。昨今、地上波テレビをはじめとするメディアへの出演者の大量露出が必ずしも作品のヒットに貢献しない事例も続出しているが、さすが北野武というべきか、これまでで最も精力的なのではないかと思うほど公開日前後に各メディアに露出し続けたことが、好成績として結実したかたちだ。

 2010年に公開された『アウトレイジ』の1作目は初週土日の動員10万6138人、興収1億4530万9000円、最終興収7億5000万円。2012年に公開された続編『アウトレイジ ビヨンド』は初週土日の動員20万6614人、興収2億7924万7500円、最終興収14億5000万円。初週土日の成績で比較すると、『アウトレイジ』シリーズ3作目となる今回の『アウトレイジ 最終章』は、1作目の約2.4倍、2作目の1.2倍の成績。このままの推移が続けば、最終興収で15億を超えることも十分にあり得るだろう。

 ちなみに、北野武監督作品における過去最高興収は2003年公開の『座頭市』が記録した28億5000万円。その次が、前作にあたる2015年公開の『龍三と七人の子分たち』の16億。『アウトレイジ ビヨンド』で監督として初めて続編を手がけ、今回の『アウトレイジ 最終章』でさらにその続編を撮ることになった北野武だが、必ずしも『アウトレイジ』シリーズだけが突出した好成績を残しているわけではないのだ。

 北野武は、これまで事あるごとに初期監督作品の客の不入りを嘆き、海外で評価されたことによってようやく日本でも客足が好転したというエピソードを語ってきた。しかし、実は2010年の『アウトレイジ』以降、『龍三と七人の子分たち』も含む4作品では、中小規模の製作費の作品を撮り続けている日本の映画監督としては、他を見わたしても例がいないほどの「安定したヒットメイカー」である。

 今年9月におこなわれた『アウトレイジ 最終章』ジャパン・プレミアの席で、北野武は次回作として自身が執筆した恋愛小説(『アナログ』)の映画化企画を進めていること、そして、それがきっと失敗するだろうから、またバイオレンス映画に戻るつもりであることを自嘲気味に語っていた。しかし、監督2作目『3-4X10月』以降のすべての作品で脚本は手がけてはいるものの、もし『アナログ』の映画化が実現したら、自身の著作を監督するのが初めてのことになる。それだけでも話題性は十分なだけに、今年70歳となった「ヒットメイカー北野武監督」の快進撃はこの先も続くかもしれない。(宇野維正)