Doctors Me(ドクターズミー)- 【2017年冬】インフルエンザワクチンが供給不足に?接種は1回厳守

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2017年10月6日、インフルエンザワクチンの製造量が、過去5年で最も少ないことを厚生労働省が発表しました。(参考)

2017-2018年冬シーズンのインフルエンザが例年よりも早めの流行傾向にあることから、SNSではワクチンの供給不足を不安視する声も見られています。

今回はインフルエンザワクチンの製造量が少なくなった背景から、子どものインフルエンザ予防接種回数、補助金制度に関して医師に解説をしてもらいました。

※2017/11/8 更新

 



2017年 インフルエンザワクチン不足最新ニュース 

医療機関でワクチン不足に




2017年10月中旬〜下旬に、東京保険医協会が行った調査では6割以上の医師が「ワクチンが不足している」と回答し、インフルエンザワクチン供給が例年より遅れ、医療機関でワクチン不足が生じていることが報告されました。(参考)

回答した小児科医によると、昨年度の納入量に比べて今年度は以下の内訳で少ないようです。

■ 昨年よりもどれくらいワクチンの納入量が少ない?

・2割減:27%

・3割減:21%

・5割減:14%

各地のワクチン不足状況




■ 北海道

・札幌市内の病院:予約開始から約3日で完売。例年より5〜10%少ない状況。12月中旬まで予約がいっぱいという病院も。

■ 東京

・杉並区の病院:ワクチンのネット予約を中止。例年より入荷が20%程度少ない状況。

・足立区の病院:13歳未満の子どもの2回目の接種を、1回目と4週間以上あけるなどで対応。

インフルエンザワクチンの製造量が少なくなった原因
 

流行するインフルエンザウイルスの予測方法


インフルエンザウイルスには微妙に異なるタイプ株のウイルスが多数種類あり、どのようなウイルスが流行しそうかを、世界的な流行状況を参考にしながら厚生労働省が何度かの会議を経て予測しています。

その情報を元に各製薬会社がワクチン作成を行います。

製造・出荷が遅れた背景


2017年は5月に厚生労働省が発表していた株(A/埼玉/103/2014(CEXP002))では製造効率が悪いということが分かり、7月に他の株(A/香港/4801/2014(X-263))に変更したため、製造に手間取り、出荷が遅れているとのことです。

変更した前の株を使用したワクチンが出回っていないかどうかを厚生労働省に確認したところ、流通するのは全て7月に最終決定した株のワクチンであるということでした。

結局どの株が「当たり」であったか、つまり実際に流行したかはシーズンが終わってからでないと分かりません。

インフルエンザワクチンの出荷数の傾向


インフルエンザワクチン製造数はここ20年で急増しています。今年の予想出荷数はここ5年で最低とされていますが、平成18年や21年と同程度であり、ここ5年ほどの使用数と変わりがありません。

つまりワクチンが大幅に足りない事態になることは考えにくいと思われます。

(参照:平成29年9月15日 厚生労働省通知 季節性インフルエンザワクチンの供給について)

2017-2018年 インフルエンザ予防接種の開始時期
 

早い施設では9月頭から予約を開始し、10月頭から予防接種が始まっております。

ですが、あまり早く接種すると3月末には免疫が切れてしまうことも考えられます。免疫を作るまでに2週間程度かかることは知っておく必要があります。

多くの医療機関は11月初旬から接種を開始するとして、10月中旬から予約を受け付け始めますので、例年通りの時期に接種を受けるのが良いと思われます。

日本国内で消費されているインフルエンザワクチン量
 

日本国内で例年消費されているワクチンは2500万本ほどです。

日本国民は1億2000万人程度ですので、国民の5人に一人程度しか接種していないことになります。これだけ接種を勧めている割には少ないなと感じます。

インフルエンザワクチンが在庫不足になった場合
 

インフルエンザワクチンに限らず、ワクチン流通は流動的であり、しばしば在庫不足が起こります。

熊本地震の際には製造工場が被害を受けましたし、赤ちゃんの定期接種ワクチンですら不足していることがあります。

控えるべき行動


・医療機関による買い占めや値段の吊り上げ

・不安がって体調が悪いのに接種を急いだりする

厚生労働省からの注意喚起


「昨年の使用数を大幅に上回る発注をして、シーズンが終わりかけの時に返品するようなことをした医療機関は、実名公表も考える」と言っています。

13歳以上の子どものワクチンは1回接種を厳守
 

厚生労働省は通達の中で、13歳以上は1回接種を厳守するよう述べています。これは特に例年と変わりはありません。

複数回ワクチン接種することで、多少免疫が強くなる可能性もありますが、実際どの程度の意味があるかは不明です。

例えば15歳や18歳の受験生が不安だからと言って、医師に2回接種を強要するようなことをしないようにして頂ければ良いのではないかと思います。

WHOは、13歳ではなく9歳以上は1回接種で十分という見解を示しており、今後は1回接種の年齢が9歳以上に引き下げられるのかもしれません。

13歳未満の子どものワクチンが2回接種の理由 
 

人間の免疫機能には記憶力があり、麻疹のように一度接種したら長期間免疫記憶が持続する疾患と、インフルエンザのように半年程度で免疫力が下がってしまう疾患があります。

免疫力が下がると言っても、どこかに記憶は残っており、ゼロではないのですが、子どもの場合はワクチンや実際の病原体に触れた経験が非常に少ないので、ゼロから免疫を作り上げる必要があります。

その為、複数回ワクチンに触れることで免疫をより強化する必要があるので、2回接種となっているのだと思われます。

インフルエンザ予防接種の補助金制度
 

高齢者


65歳以上の高齢者や、60〜65歳で腎臓・心臓・肺に病気がある人などを対象に、自治体がインフルエンザ予防接種の補助金を出し、無料〜1,500円程度で接種が受けられます。

子ども


費用補助はなく、1回2,500〜5,000円程度の自己負担となっています。

補助金制度への不満の声も…


3歳未満の子どもには大人の半分量しか使用しないのに、値段が変わらないのは納得いきかねる面もあるかもしれません。

2011〜2012年シーズンまでは、生後6カ月〜1年の乳児には大人の5分の1の量しか使用していませんでしたが、一般的には値段は大人と同じでした。

現在も3歳までは使用量が大人の半分、3歳以上は大人と同じになりますが、3歳を区切りに値段を変えているクリニックは見たことがありません。

また、自費の接種費用は各病院が自由に決めており、誰に補助を出すかはインフルエンザにかかった時にどの程度生命に関わるかにもよります。

最後に医師から一言


インフルエンザのワクチンが少ないというニュースを聞いて、よく考えたり調べたりしないままにSNSなどで情報拡散し、不安を広げるのは慎重になるべきと考えます。

厚生労働省や製薬会社も、社会不安を煽らないよう、必要十分な数のワクチンを計画的に作成できるような体制を整えてほしいものですが、株の選定には南半球での流行状況を見極める必要もあるため、あまり早く株を決めるわけにもいかず、難しい面もあるのかもしれません。

(監修:Doctors Me 医師)