昨夏に惜しまれつつもスパイクを脱いだディ・ナターレ。現在のセリエAについて語った。(C)Getty Images

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 元イタリア代表のアントニオ・ディ・ナターレが現役引退してから、1年以上が過ぎた。現地時間10月13日、40歳の誕生日を迎えた往年の名ストライカーが、イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに応じている。
 
 2年連続でセリエA得点王に輝き、4年連続の20ゴール以上をマークするなど、通算209得点という偉大な数字を残したディ・ナターレ。だが、40歳という節目の年を祝う仲間にサッカー界の人間は少ないという。
 
「(サッカー界の)外にいるのは煩わしくないし、不動産業やコーヒー事業、ウディネのサッカースクールという仕事が好きなんだ」
 
 さらに、ディ・ナターレは「サッカー界は必要なときだけ大事にされ、その後はすべて終わりとなる。(ルカ・)トーニを見てくれよ。(引退後に幹部としてヴェローナに)1年残ったけど、それでサヨナラだ」と、移り変わりが激しい現在のサッカー界に苦言を呈した。
 
 また、イタリアにかつてのような超一流選手が出てこない理由については、「1年上手くやったら、高額の長期契約を結んで満足してしまうからだろう。私は成長のために上手くやろうと考えていた」と、継続的に向上を目指す選手がいないと分析。また、下部組織への注力も足りないと指摘している。
 
 それでも、自身やフランチェスコ・トッティ、アレッサンドロ・デル・ピエロ、ロベルト・バッジョのような、セリエAの歴史に名を残した偉大なアタッカーたちのレベルに達することのできる選手を問われると、ディ・ナターレはナポリのロレンツォ・インシーニェの名前を挙げた。
 
「彼はとても上手い。トッププレーヤーに相応しいプレーをするし、ゴールも決めるようになった。かつてウディネで彼にもっとゴールを決めろと言ったことがあるんだ。今の彼はそれをしている」
 
 インシーニェとともに現在のイタリアを代表するFWといえば、トリノのアンドレア・ベロッティとラツィオのチーロ・インモービレだろう。ディ・ナターレは「2人とも優秀だよ」と賛辞を寄せつつ、「でも自分の時代を考えてしまう」と続けた。
 
「私は(クリスティアン・)ヴィエリ、(フィリッポ・)インザーギ、トーニ、トッティ、デル・ピエロといった選手たちとプレーしていた。相手は(パオロ・)マルディーニ、(アレッサンドロ・)ネスタ、(ファビオ・)カンナバーロ、(リリアン・)テュラムだ。(試合の)前夜は眠れなかったものだよ。すべてが変わってしまったね」
 
 カルチョの黄金期と比べて、現在のセリエAは魅力に欠けるとの声は少なくない。それでも近年は復活を感じさせつつあるが、錚々たるメンバーがしのぎを削っていた当時を知るディ・ナターレの目には、物足りなく映っているようだ。