中国の公安当局は、北朝鮮から危害を加えられるおそれがあるとして、中国の一部地域に在住する韓国人に対して一時帰国を勧告した。韓国の聯合ニュースが報じた。

拉致計画も

韓国外務省関係者は、この事実を確認した上で、対象地域に住む韓国人のうち、5人は既に中国から出国し、残りも該当地域から一時的に離れたり、早急な帰国を検討したりしていると語った。韓国の朝鮮日報によると、勧告を受けたのは遼寧省丹東の韓国人会会長、前会長、牧師、宣教師など10数人だ。

ある在中韓国人は、公安当局者から「18日から始まる共産党大会が終わるまで出国しておくのがいいだろう」と言われたが、出国を強いるレベルではなかったと述べた。一部の人は地域の派出所に呼び出され勧告を受けたが、どのような危機が迫っているのかについては教えてもらえなかったという。

韓国の公共放送KBSは、北朝鮮事情に精通した情報筋と、北朝鮮レストラン元支配人の話を引用し、北朝鮮の偵察総局の要員が韓国人を北朝鮮レストランのVIPルームに誘い込み、麻酔で失神させた上で、拉致する計画を立てていると報じた。

北朝鮮の秘密警察である国家保衛省は、金正恩党委員長が昨年下した「反共和国(北朝鮮)謀略勢力を、手段と方法を問わずに捕らえよ」との指示に基づき、「拉致組」を結成し、丹東市内のホテルを拠点に、脱北者の拉致作戦に乗り出している。

(関連記事:北朝鮮「拉致組」が潜む「魔のホテル」で行われていること

拉致組と思しき要員たちは、丹東市内で日本人観光客にも目撃されている。

最近、このホテルに滞在した日本人観光客は、レストランで男性4人組を目撃した、体格がよくこざっぱりとした服装で、胸に金日成バッジを付けていた。他の北朝鮮の宿泊客とは明らかに雰囲気が異なり、一様に押し黙って食事をしており、周囲には異様な空気が漂っていたと述べた。

韓国外務省は昨年5月、中朝国境地域において北朝鮮による自国民への拉致、テロが行われるおそれがあるとして、個人の観光客には渡航自粛を、旅行会社にもツアーの開催自粛を呼びかけている。

さらに瀋陽駐在の韓国領事館は11日、北朝鮮の挑発行為と対北朝鮮制裁強化と関連し、北朝鮮によるテロなどの可能性があるとして、北朝鮮レストランなど北朝鮮関連施設への立ち入りを控え、人混みでは周囲の状況に注意を払うよう勧告を出している。