お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、下田れいかさん(仮名・PR・32 歳)からの質問です。

「フリーランスでPRの仕事をしている32歳です。同業者から“老後が心配なら、確定拠出年金を始めたら?”と言われました。これはどういうしくみのものなんでしょうか。

デメリットはありませんか?また、今、年収は420万円です。もし始める場合、毎月いくらに設定したらいいですか?」

森井じゅんさんに伺ってみましょう。

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個人型確定拠出年金iDeCoの基礎知識

確定拠出年金には、企業型と個人型の2種類があります。

相談者さんはフリーランスの方ということなので、個人型の確定拠出年金、いわゆるiDeCoのお話でしょう。

2017年1月から対象者が大きく広がったこともあり、何かと話題のiDeCo。まずは、その制度と仕組みを見ていきましょう。

iDeCoは、英語のindividual-type Defined Contribution pension planの略で、個人型DC、個人型401kとも呼ばれています。呼び名は様々ですが、ざっくりと言えば「個人で行なう年金の上乗せ」です。

将来自身が受け取ることのできる年金の受取見込額が心許ないと考える人、公的年金にプラスして老後に備えたい人たちの注目を集めています。

iDeCoに加入した場合、加入者自身が毎月一定額の掛け金を支払い、運用します。運用商品は、定期預金や保険商品といったリスクの低いものから、国内外の株式など様々です。こうして運用した成果が将来の年金受取額に反映されるのです。

自分自身がどのようなリスクをとってどのような結果を求めるかによって、自身で判断し運用していきます。

会社員でもiDeCoに加入できる!

原則20歳から60歳までの公的年金に加入する、ほぼすべての方が加入対象となり、現在では企業年金に加入している会社員、公務員、専業主婦(夫)の方もiDeCoを利用できるようになりました。

しかし、それぞれの立場により拠出限度額は変わってきます。相談者さんは、フリーランスつまり自営業者なので、掛け金の上限は毎月6万8000円です。

ちなみに、iDeCoは公的年金に上乗せされる年金制度なので、国民年金を払っていない、又は国民年金の保険料納付を免除されている方等は加入できません。

個人型確定拠出年金の3つのメリット

iDeCoの最大のメリットは、現在の所得税・住民税の節税です。

iDeCoへの毎月の拠出金は、一定の範囲内で所得控除となります。つまり、税金計算の元になる所得を小さくすることができるのです。そして、税金は課税すべき所得に税率をかけて税金を計算をするので、税金負担を減らすことができるのです。

ちなみに、所得税は所得が大きいほど税率が高くなるので、所得税については収入が大きい人ほどより大きな節税になります。

第2のメリットは、運用中の利益が非課税になることですです。

通常の口座で利益が出ると、約20%の税金が引かれます。しかし、iDeCoの中でこれらの利益を得ても一切課税されません。

そして、第3のメリットは、受け取り時にも年金もしくは退職金扱いで税金計算できるという事です。通常の給与所得や事業所得よりも、退職金や公的年金の方が税金計算上有利です。

つまり、拠出時、運用時、受取時にメリットがあるといえます。

デメリットは?手数料や損失金などのリスクはどれくらい?

まず、iDeCoは60歳以降に年金または一時金の形で受け取るものです。そのため、原則途中解約ができません。60歳まではお金を受け取ることができない、と思って拠出しましょう。

また、上記で運用益のメリットもお話しましたが、iDeCoはもちろん投資であり、利益がでるとは限りません。選択する商品によっては損をすることもあります。

通常の投資であれば、他の投資の利益と相殺するなど損失を利用し現在または将来の税金を減らすことができますが、iDeCoではそれはできません。損失はなかったものとなってしまいます。

さらに手数料負担もあります。加入一時金のほか、国民年金基金連合会への手数料、事務委託先金融機関手数料、口座管理手数料といった手数料がかかるのです。

手数料ゼロ、と謳っているものもありますが、口座管理手数料がゼロというだけだったりします。最低でも、新規加入時に3000円弱、その後毎年2000円強は必ずかかってくるので注意しましょう。

相談者さんの場合のお得度は?

具体的には、iDeCoに投資したお金は所得から引かれます。相談者さんはフリーランスとのこと、年収だけでは所得は分かりません。ここでは仮定として、費用や控除等を差し引いた後の所得が250万円だったとしましょう。そして、iDeCoへの拠出は月2万円年間24万円と考えてみます。

この場合、所得からiDeCoに拠出した24万円が引かれます。つまり所得226万円ベースで税金計算ができることになります。

課税対象の所得が226万円と仮定すると、ざっくり所得税率10%、住民税率10%です。24万円のぞれぞれ約10%、2万4000円ずつ税金負担を減らすことができます。つまり4万8000程度の節税効果といえます。

掛け金はいくらにしたらいい?

掛け金の最低額は月額5000円で、以降1000円単位で決めることができます。 先ほど触れたように、iDecoは原則として60歳まで引き出せません。60歳以降に受け取るために、今使えるお金が足りなくなってしまっては元も子もありませんね。

iDeCoは毎月の負担になります。現在の収入や支出を振り返って、どのくらいの拠出が可能かしっかり検討してください。

iDeCoでは、掛金の金額を年1回変更することができます。まずは少な目の金額からはじめて、余裕があるようだったら掛け金を増やしていってもいいですね。

さて、いくらから始めましょうか。



■賢人のまとめ
所得250万円、月々2万円の掛け金で、年間4万8000円程度の節税効果が。ただし、60歳まで解約できないしくみです。また、手数料などは利用機関や投資先によって変わりますので、しっかり選定する必要があります。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。