高圧洗浄機メーカーのケルヒャー・ジャパンが9月22日に新横浜への本社移転を完了、同日メディアに公開されました。来年発売予定の新製品の情報も公開されるというので、早速、見学会に参加してきました。

 

日本はグローバル平均を超える成長市場

新社屋見学会の前に、まずはケルヒャー・ジャパンの経営戦略発表が行われました。冒頭、あいさつに立ったケルヒャー・ジャパンのハルトムート・イエナー会長は、日本市場の重要性を次のように語りました。

 

「新本社を含め現在、日本全国17か所営業拠点を設置し、お客様に近い場所でサービスを提供しています。現在、グローバルでは毎年平均10%ほど売り上げが伸びているが、日本はグローバル平均を超える成長を続けている。日本での認知度はまだ高くないので、さらに成長できると確信しています。今後も日本市場に合ったデザイン、機能を研究し、日本向けの製品開発を進めていきます」(ハルトムート・イエナー会長)

↑ハルトムート・イエナー会長

 

その言葉の通り、ベランダクリーナーは日本の狭小ベランダ向けに開発されたもので、グローバルでもヒット商品になっています。また、日本は住宅が密集していることから、他国で導入されている製品よりノイズレベルが低かったり、業務用も日本のアパート・マンションなどの事情に合わせて小型モデルのラインアップを揃えたりといった工夫がなされているそうです。

 

売上高300億円達成は新横浜から

新本社はJR新横浜駅から徒歩5分ほど。それまでの仙台本社から新横浜に移転した理由について、佐藤八郎社長は次のように説明します。

 

「よりお客様に近い場所にいること、ネットよりも電話、電話よりもフェイス・トゥー・フェイスが大切だと考えています。今後はドイツ本社のみならず、グローバルでのコミュニケーションが増えていくため、首都圏に近いだけでなく、名古屋、大阪からも近いこの場所を選びました」(佐藤八郎社長)

↑佐藤八郎社長

 

↑新本社は地上4階建て、敷地面積836屐延床面積2880屬如¬100名の社員が勤務しています

 

ケルヒャーが日本に進出して来年で30周年。当初の目標だった売上高100億円は2011年に達成し、2016年度は売上高160億円まで成長しました。2020年度には300億円を目指していますが、その拠点となるのがこの新本社ビルということになります。

 

佐藤社長は、「当社には3000種類もの製品ラインアナップがあるが、日本に未導入の製品、未開拓の分野はたくさんあります。新本社に併設する研修施設に業務用・家庭用ともに日本全国から販売店関係者に来ていただき、機器の操作方法から掃除の仕方まで実際に学んでもらうとともに、情報を広く発信していきたい。また、日本市場にマッチした商品開発や、売り場づくり、コミュニケーションを含めた営業強化も引き続き実施していきます。少子高齢化など日本は課題先進国。日本の成功事例は海外でも応用でき、日本もグローバルもまだまだ成長できるはず」と展望を語ります。

↑業務用洗浄機の幅広いラインナップにより、多分野での市場開拓を狙います。なお、福島の除染作業にもケルヒャーの洗浄機が使用されました

 

↑新本社には製品・アクセサリー合計248点(家庭用89/業務用159)を常時展示するケルヒャーセンターと、販売スタッフや掃除スタッフの研修施設であるケルヒャーアカデミーを併設。アカデミーには10種類の床材や家庭環境を再現した研修設備が設置されます

 

来春発売予定のモバイル洗浄機&コードレススティッククリーナーもお披露目

来年、日本市場に投入する新製品の情報開示も行われました。

 

まずは、モバイル洗浄機の「OC3」。本体重量2.6kgの小型洗浄機で、本体内に4Lの水タンクとバッテリーを搭載し、水源・電源のない場所でも洗浄が可能。バッテリーの充電時間は3時間、フル充電で連続15分間使用できます。

 

吐出圧力は0.5MPaで、一般的な水道圧の2倍強の圧力。自転車などのアウトドアアクティビティ、お彼岸の際の墓石、2階の網戸、ペットの手足の汚れなど、気軽に持ち運んで洗浄したいというニーズを取り込んでいくとのこと。こちらは来年春の発売で、価格は2万円前後となる予定です。

↑来春発売予定のモバイル洗浄機「OC3」。小型軽量で、水4Lを入れても片手で持つことがます。実演では、泥で汚れた自転車が面白いようにキレイになりました。4Lの水で、目安として自転車1〜2台、網戸は1〜2枚、お墓なら1基が洗浄可能とのこと

 

続いて、コードレススティッククリーナーが登場。掃除機というより「電気ほうき」といえる製品で、吸い込むのではなく底面のブラシでゴミを掻き上げていきます。スティックを倒すとスイッチが入り、立てるとオフになるなど操作は簡単。リビングの隅に立てかけておき、ゴミが気になったらサッと取り除くといった使用シーンを想定しているとのこと。充電時間3時間、連続使用時間はハードフロアで約30分、カーペットで約20分。本体重量1.2kgと超軽量。価格は1万円前後を想定しています。

↑来春発売予定のコードレススティッククリーナー。底面の電動ブラシでゴミを掻き上げていく方式です。その構造上、砂などの微細なゴミは苦手ですが、ホコリやペットの毛などの生活ゴミはしっかり取り除きます

 

このほか、ヒートアップタイム(加熱時間)を短縮したスチームクリーナーや、より小型軽量化した窓用バキュームクリーナーも来春に日本市場へ投入予定とのこと。ロボット掃除機も開発中で、来年には市場投入する計画です。

 

さらに、イエナー会長によると、現在IoTプラットフォームの開発にも取り組んでいるとのこと。例えば、天気データとスプリンクラーを連動させ、雨が降りそうなときには庭の散水をしないなど、既存製品とセンサー、インターネットのデータを組み合わせたソリューションの研究をしているそうです。

 

新社屋では随所に“らしさ”が

このあと、新社屋の見学会が行われました。ここからは写真を交えて新社屋の施設を紹介していきます。

 

新本社ビルの通り沿いの壁には、日本橋の写真パネルが貼り付けられています。これは、2010年に実施した「日本橋クリーニングプロジェクト」の様子を捉えたもの。経年による汚れだけを取り除き、戦時中の焼夷弾の跡は残されています。下に川が流れているので洗剤は使用できず、ドイツ本社から20種類以上のパウダーを持ち込み最適な方法を探りながら洗浄したとのこと。同様の活動は世界中で行われており、同社はリオデジャネイロのキリスト像やバチカンのサン・ピエトロ広場も無償で洗浄したそうです。

↑左が洗浄前、右が洗浄後

 

1階のケルヒャーセンターでは、家庭用・業務用合わせて248アイテムを常時展示し、家庭用製品やパーツ類は一般販売も行っています。高圧洗浄機はすべて試すことができるほか、バキュームクリーナーの吸引力を体験できるデモ機も設置されています。

↑1階は製品の展示・体験スペースに

 

研修施設のケルヒャーアカデミーでは、10種類の床材が敷き詰められ、実際に家庭用・業務用クリーナーによるクリーニング研修に使用されます。防音・防水のテストルームも完備し、大量に水を使う洗浄テストも可能。一般家庭エリアではキッチン、フローリング・畳、バスルームを再現し、スチームクリーナーの実演・実習が行えます。

↑主に販売スタッフや掃除スタッフの研修に利用されます

 

オフィスエリアのリラックススペースには、ケルヒャー製のウォーターサーバーを設置。冷水・常温水・温水・スパークリングウォーターの4種類が利用できます。

↑日本では未発売ですが、新社屋のオープンにともない急遽ドイツから取り寄せたとのこと

 

屋上は社員のためのリフレッシュスペースに。天然芝や植栽には、同社製のスプリンクラーで自動的に散水しています。

↑昼休みにくつろいだり、BBQしたりもできます

 

今回、研修施設の充実や続々と投下される新製品などの説明を聞き、日本にしっかりとした拠点を構えてさらなる市場展開を狙うという同社の強い想いを感じることができました。ちなみに、ケルヒャーセンターでは製品の購入相談や試用も可能とのこと。新社屋はケルヒャーとカスタマー、双方にとって非常に有益な場所となりそうです。