目の肥えたスペインのファンでさえ、その技巧にはため息を漏らす。乾はこれからも“約束の地”で異彩を放つだろう。(C)Getty Images

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 スペインの全国スポーツ紙『MARCA』が、週末のリーガ・エスパニョーラを前に日本代表MF、乾貴士の特集記事を掲載した。エイバルで3シーズン目を迎えるアタッカーがスペインの地を踏んだいきさつ、さらには契約延長について、選手本人のコメントも交えて紹介している。
 
 まずはそのキャラクターについて。「イヌイはいまでもカスティージャ語(スペイン語)は上手く話せないが、それはなんら障壁にはなっていない」とフォローし、「屈託のない笑顔とヴァイタリティー溢れる性格で、チームメイトだけでなくサポーターからも人気を博している」と褒め称えた。
 
 2年前、乾はドイツのアイントラハト・フランクフルトからエイバルへの移籍を果たした。その時の移籍金はなんと30万ユーロ(約3800万円)。同紙は「30万ユーロという、いま思えばバカげた移籍金でこのテクニシャンはスペインにやって来たのだ。その後の活躍を考えれば、エイバルにとってはどれだけ価値の高い補強になったことか」と、書き綴った。
 
 そして、リーガが乾にとってずっと憧れの舞台であった事実を本人の証言とともに明かしている。
 
「スペインでプレーするのが夢だった。日本にいた時からエージェントにはその気持ちをちゃんと伝えていたし、最初はブンデスリーガから欧州での日々がスタートしたけど、ゴールはラ・リーガだと決めていたんだ。そんななか、2年前にエイバルがオファーをくれた。嬉しさでいっぱいになったし、どんな条件であろうと行きたいと。エイバルがどこにあるのも知らなかったけど、大した問題じゃなかった(笑)」
 
 現行契約は2年前に結んだ2018年6月までで、延長交渉はこれから本格化する。乾はどう考えているのだろうか。
 
「できるだけ長くスペインでプレーしたいし、できるだけ長くエイバルにいたいと思っている。本当にここにいて幸せなんだ。僕はひとりの選手として、ずっと成長していきたい。ここでならそれができると信じている」
 
 エイバルにおける最高の相棒を訊かれると、「(ボランチの)ダニ・ガルシアだね。スマートでテクニカルなんだけど守備も巧い。すごくやりやすいんだ。ああいう選手はなかなか日本にはいないよ」と答え、今シーズンからヘタフェに加入した“同胞”柴崎岳のインプレッションについてはこう語った。
 
「もう長く彼のプレーを観てきたからよく知っているよ。本当に素晴らしい選手さ。彼とともに、スペインサッカーと日本サッカーの架け橋になっていければいいね」
 
 エイバルのリーガ再開戦は10月15日日曜日、ホームにデポルティボ・ラ・コルーニャを迎えて行なわれる。