男だって苦しむ(画像はCALMのキャンペーンページに登場しているヒューズさん)

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英国で2015年から放送されているリアリティ番組「Love Island」の最新シーズンに出演し、一躍人気者となったのが、爽やかなルックスとたくましい肉体を持つクリス・ヒューズさん(24)だ。

一見何の問題も抱えていないように見えるヒューズさんだが、世界メンタルヘルスデーの2017年10月10日、自身が長らく不安障害やパニック発作、うつに苦しめられてきたことを公表した。

苦しみの原因となったのは「男らしくあること」と、苦しみを「押し殺していた」ことだったという。

「男は泣かない」という圧力

「Love Island」はセレブ(とされる)男女数十人がリゾートの島で共同生活を行いカップルが成立する様子を放送する英国の人気リアリティ番組だ。

視聴者が投票で島から追放するメンバーを決め、最後まで残ったカップルが優勝者になるという参加型の演出で、2015年から毎年放送されている。

ヒューズさんは7月に放送された最新シーズンに登場。明るい性格や男らしい雰囲気やルックス、仲の良かったメンバーが追放される際には涙を見せる優しさなどが受け、視聴者からの人気も高かった出演者だった。

そんなヒューズさんが、英国で男性の自殺防止を推進する啓発運動やホットラインを提供する慈善団体「Campaign Against Living Miserably(CALM)」を通じて、「パニック発作や不安障害に苦しめられており、今でも精神的な健康問題で苦しんでいる」と告白したのだ。

同日、英テレビ局「Sky News」の生放送番組にも出演したヒューズさんは、自身を追い詰める原因となったのは「man up」と「bottle up」、2つの「up」だったと涙ながらに話している。

「man up」とは男らしい態度を意味し、「bottle up」は感情を押し殺すことを意味する。つまり、日常生活の中で苦しい出来事や悲しい出来事に直面しても「男は泣くべきではない」「弱音を吐くべきではない」「軽々しく誰かに相談してはいけない」といった「man up」が「bottle up」を引き起こしているということだ。

誰にも相談できず自分に蓄積していく苦しみは精神的な健康を害し、病気だけでなく自殺を引き起こす可能性もある。ヒューズさんも自殺を考えたことがあると話しており、CALMは英国では45歳未満の男性の死因トップが自殺となっていると発表した。

5月に発表された日本政府の自殺対策白書でも、40歳未満の死因は2位以下に3倍以上の差をつけて自殺がトップ。自殺の直接的な原因までは不明だが、ヒューズさんが訴えるように「男は苦しみを我慢して誰にも相談してはいけない」という雰囲気も影響しているかもしれない。

「『自殺』の犠牲になるのは我慢できない」

CALMによるアンケート結果でも、男性が悩みや苦しみを他者と共有したがらない傾向にあることも示されており、英国人男性の84%が「男は男らしくあるべき」だと考え、43%は「悩みや苦しみは誰にも相談せず自分だけで解決すべきだ」と回答したという。

ヒューズさんは「男らしくあるべきというイメージに縛られているせいで、毎日大勢の若者たちが『自殺』という殺人者の犠牲になるのはもう我慢できない」とし、

「自身の感情を押し殺して苦しんでいる男性は、僕が自分の感情をオープンにして救われたように、誰かに助けを求めて欲しい。黙って我慢するなんて馬鹿馬鹿しいことはやめよう」

と話している。

CALMとヒューズさんはツイッター上で「#DontBottleItUp」というハッシュタグを使うキャンペーンに取り組んでおり、「男性が自分の必要に応じて自由に助けを求める文化を当たり前にしよう」と呼びかけている。