アイドル、宝塚、若手俳優、ディズニー、お笑い、ホスト、コスメ……オタク女性が、好きなモノにバンバンお金を使っている生態を紹介する新刊『浪費図鑑』(小学館)がヒット中です。

これをまとめたのは、劇団雌猫というサークル。メンバーは、全員平成生まれのアラサー女子で、ジャニーズ&俳優オタク・ユッケ、宝塚ファン・もぐもぐ、BLマニア・ひらりさ、アイドルオタク・かんの4人です。

彼女たちは“ハマる対象=神”を持ち、そこに“お金=お布施”を惜しみません。皆さん、表紙のイメージ通り、ファッションもメイクも手抜きをしない女性たち。

ここでは、『貧困女子のリアル』などの著者・沢木文が、彼女たちにインタビュー。浪費を重ねても、貧困女子になるどころか、ますます幸せになるオタク女子の謎を解明します。

雌猫3人と沢木文の4ショット。(ひらりさはリモートにて参加)

子供にお小遣い帳を付けさせても、意味がない!?

沢木文(以下・沢木)毎月、5〜10万円程度、好きなモノにお金を使っているそうですが、親からどのようなお金の教育を受けたのでしょうか。

ユッケ 私は親が厳しくて、小学生から高校生まで、毎月お小遣い帳をつけて、親に見せていました。ちなみに、金額は小1で100円、小2で200円と学年ごとに増えていき、中学生では1000円、高校では3000円でした。

もぐもぐ すごい、倹約家になりそう!

ひらりさ 私も高校時代は、お小遣いは月3000円以下だったはず……。バイトも禁止の学校だったので、10代のころほとんどお金を使っていた記憶がないんです。ただ、結構頑張って受験勉強をして、大学生になって家庭教師のバイトでガンガン稼げるようになったときに、「これまで勉強中心で暮らしていたぶんいっぱいBLを買うぞ!」というスイッチが入って、そこからお金を使うようになった気がします。

ユッケ 大学時代から、徐々にお金が自由に使えるようになります。私の場合ひとり暮らしで東京に来て、ストレスから解放され、パーッとお金を使うように。親の目がなくなって、爆発(笑)。でもタガが外れても、借金はしなかったし、カードも作りませんでした。

沢木 1人暮らししていると、息を吸うだけでお金がかかる実感があるでしょ?

ユッケ はい……これは初めて話すのですが、大学生時代、サークルの男子に「来週返すから」と2万円借りたことがあります。

かん キャッシングや借金はしない……というより生理的にできない。でも私、いつもカードが限度額で止まっていて、レジで支払う時「使えません」と言われ、「やっぱりやめます」ということがあります。

もぐもぐ 私はそこまでではないですが、毎月カード明細を見て「何にこんなに使ったの?」ってなってます。先月の記憶を失ってる(笑)。

公演ごとに10万円以上使う、それで仕事のモチベーションが上がる!

沢木 最初にお金を使うようになったきっかけを教えてください。

ユッケ 最初はジャニーズでした。地元にいる頃は、年に1~2回コンサートに行く程度だったのに、東京に出てきてから、ジャニーズのアイドルグループ『Hey! Say! JUMP』が自宅から徒歩30分程度のところで毎日公演をしていたんです。当時は、1回の公演が6000円くらいで、チケットも余裕で当選しまくって、気が付いたら10公演も見ていました。それが最初の大きなきっかけでしょうね。今は公演ごとにチケット代や交通費、宿泊費などで15万円くらい使っています。

ユッケさんが09年から現在まで行ったHey!Say!JUMPのコンサートチケット。きちんとファイリングされているところが、愛!

もぐもぐ 私も宝塚の好きな組の公演には10万円は使っていますね。

かん 私は劇団☆新感線の『髑髏城の七人』ですね。7年ごとの公演だから、今見ておかないと、次は7年後までないと思ってチケットを押さえました。

ひらりさ SNSの影響も大きいかもな〜と個人的には思っています。みんなが「イベントのために円盤を〇枚買った」とか、「次のイベントは京都だけど遠征する」とわいわいツイートしていると「あ、楽しそうだな」とか「私も遠征というやつをしてみようかな」と趣味に使うお金の許容範囲が広がっていくという。

沢木 その気持ち、すごくよくわかる。でも、お金を使ったら足りなくなる。その時はどうするんですか?

全員 がんばって働こうと思う。

ユッケ これだけお金を使ったから、いい仕事をしようとモチベーションを維持できます。

もぐもぐ 私は社会人になるまで無趣味だったんですよ。働くのがつらくて、お酒ばっかり飲んでいた時期がありました。それで、友達が好きだった『AKB48 』を現実逃避のように見始めたんです。Youtubeで無料動画を見て、メンバーの名前を勉強して、チケットを買ってハマっていく……好きなモノがあるとアドレナリンが出て、毎日楽しい。

沢木 何かにハマるというのは才能かもしれない。貧困女子を取材してきて、そこまで強烈に何かが好き、という人は少なかったように感じます。

かん その違いは面白いですね。私たちが好きなものにお金を使うのは自分の幸せのためで、目的とリターンがはっきりしてる気がします。オタク的なカテゴリーのものに限らず、コスメや美容も並列です。

もぐもぐ 自分も一歩間違えたら貧困な気もするけど(笑)姿勢が違う気がする。どこだろう?『浪費図鑑』で紹介した人の多くは、仕事も頑張っているから、貯金0円でもなんとか回っていると語っていました。継続的にお金を使い続けるためには持続可能でなくてはならない、って気持ちが大きいかも。

沢木 なるほど。貧困女子は、自分の充足ではなく、他者からの評価を得るためにお金を使っているように感じます。例えば、彼に貢ぐ、親に貢ぐ、美容など。

かん 私達は、自分のためにお金を使うことに集中しています。すると、その他のことには一切使わなくなるというのを感じる人が多いですね。

占いにBETした時代のひらりささんは、3時間4万8600円の占いに行ったことも。メモが細かい!これも愛!

『浪費図鑑-悪友たちのないしょ話-』著/劇団雌猫 刊/小学館

劇団雌猫メンバーが、一番お金を使わないモノは●●●だった!?〜その2〜へ続きます