軌道上炭素観測衛星「OCO-2」のイメージ画像(2014年1月28日提供)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】世界中の炭素排出量が特に冬季に急増していることが、地球を周回する米航空宇宙局(NASA)の人工衛星で収集したデータで明らかになったとする研究結果が12日、発表された。研究では、地球温暖化を促進する汚染物質の濃度上昇に関する新たな知見も得られたという。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された5本の研究論文は、NASAが2014年に打ち上げた軌道上炭素観測衛星2(OCO-2)で収集したデータに基づくもの。

 OCO-2の任務は、化石燃料の燃焼で生成される主要な温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)が地球全体をどのように移動し、そして時間によってどのように変化するかを調べることだ。

 論文によると「北半球の炭素循環に著しい季節変化がみられることを、OCO-2のデータは示している。春季には陸生植物による炭素の劇的な吸収が起きる」が、「冬季には、植物の炭素吸収量が最小になる一方、植物由来物質の分解や腐敗によって炭素が大気中に戻される」のだという。

 このサイクルに中国、欧州、米国南東部などにおける化石燃料の燃焼で継続的に排出される炭素が加わる結果、北半球の炭素濃度は4月に季節的なピークに達すると、論文は説明している。

 そして春から夏が近づくにつれて、植物による炭素の吸収量が再び増加し始める。

 また、今回の研究では、エルニーニョ(El Nino)現象として知られる海水温度の上昇が原因で、熱帯地方の炭素放出量が過去数年に比べてはるかに増加していることが分かった。エルニーニョは、太平洋(Pacific Ocean)の海面水温と気圧を変動させる天候パターンで、1回発生すると数年間続く可能性がある。

 論文によると、2015年に放出された炭素は、同年に発生したエルニーニョが原因で、2011年の放出量を約2.5ギガトン(25億トン)上回ったという。この変化を促進させたものについては、「主に南米の降水量低下とアフリカの気温上昇」としている。

 熱帯アジアにおける炭素放出量の増加の大部分は、バイオマス(化石燃料を除く生物由来資源)の燃焼に起因していた。

 気候変動により今世紀末までに南米の降水量がさらに減少し、アフリカの気温がさらに上昇することが予想されるため、熱帯での増加傾向には拍車がかかるに違いないと研究者らは警告している。熱帯では多量の炭素が吸収されるため、従来は化石燃料排出物への緩衝装置として機能してきた。
【翻訳編集】AFPBB News