【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】米国史上最悪のラスベガス銃乱射事件(1日)で渦中の人となってしまったのが、犯行後自殺したスティーブン・パドック容疑者(64)と交際していたフィリピン女性マリルー・ダンリーさん(62)だ。ベガスから130キロ離れたネバダ州メスキートの一軒家で同棲し、事件当時はフィリピンにいた。ダンリーさんはフィリピンからオーストラリアへ移住し市民権を得て、その後ベガスでカジノ従業員として働いているとき、同容疑者と知り合ったとみられる。

 フィリピンの地元紙報道によると、パドック容疑者は事件以前のベガス滞在中、ダンリーさんを怒鳴りつけているのをカフェ店員に目撃されていた。同容疑者のカジノカード(各カジノ発行の特典付きポイントカード)でドリンクを買っていいかと尋ねる彼女を「お前のためのものじゃない」とののしったという。彼女は小さく「はい」と返事し引き下がったと、店員は証言している。

「ダンリーさんはおそらく、海外で働いて暮らすOFW(Overseas Filipino Workers)の一人。その数およそ1000万人で、人口1億人を突破したフィリピンの国民の1割は海外生活者」とは首都マニラ在住記者。

 OFWからの国際送金はGDP(国内総生産)の1割弱に達し、フィリピン経済を支えている。送金を受ける側の家族は国内で消費して中間層となり、景気を押し上げているのだ。

 フィリピンは米国の植民地だった時代があり、英語の通用度はアジアトップクラスで英語教育も熱心。そのため英語圏では意思疎通に困らず、働ける。OFWの多い国は米国の他、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、香港、シンガポール、そしてオーストラリアなど。男性は建設現場や船員、女性は看護師やメイド、サービス業に従事していることが多く、最近は弁護士やIT関連などの専門職も増えているという。

「ダンリーさんはオーストラリアで仕事していたようだが、それだけで市民権を取るのは難しい。現地人の夫がいて、その後、別れて渡米したと思われる。日本でも同様だが、フィリピン女性と結婚する白人は意外に多い。彼女たちは『メイドが天職』ともいわれるようにホスピタリティーがあり、外国の男にとっては強くなりすぎた自国の女よりはるかに優しいからだ」(前出記者)

 ダンリーさんを人前で怒鳴りつつも、現地報道によるとパドック容疑者はフィリピンに2度行き、ダンリーさんの故郷を旅行したという。また、事件直前には「家の購入資金に」と同容疑者からダンリーさんへ10万ドル(約1123万円)が送金されていたことが確認されている。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め周辺国も飛び回る。3年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。