「CRISPR-Cas9」という遺伝子編集ツールを用いれば、ゲノムをまるでワープロで文章を編集するようなイメージで、簡単に書き換えることができるという(写真はイメージです)

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どんな細胞のどんな遺伝子も
標的化、切断、編集できるCRISPR

 強力なテクノロジーにはイノベーションの機会が二度訪れる。まずは登場したとき、そして次に普及したとき。WEBなど、その最たるものだろう。 インターネットという技術の登場はたしかに大きな変化をもたらしたが、今振り返れば、スマホの普及によって「いつでも、どこでも、誰にでも」使えるようになったことも、同じように大きなインパクトを持つ出来事であった。

 本書『CRISPR(クリスパー)究極の遺伝子編集技術の発見』のテーマとなっている「CRISPR」という技術も、同様の性質を持っていると言えるだろう。「CRISPR-Cas9」という遺伝子編集ツールを用いれば、ゲノムをまるでワープロで文章を編集するようなイメージで、簡単に書き換えることができるのだ。

 たとえば科学者はCRISPRを用いて、遺伝子の塩基配列をたった一文字変えるだけで、シュワルツェネッガーのような筋肉ムキムキの遺伝子強化ビーグル犬をつくり出すことができる。最近ではブタの遺伝子を「ヒト化」する実験も行われており、動物の臓器を人間に移植する、異種間移植の実現が期待されている状況だ。

 どんな細胞のどんな遺伝子も標的化、切断、編集できるCRISPRという技術。その魅力は「魔法の杖」のような能力と応用範囲の広さにあるわけだが、それだけではない。二段ロケットのように用意されたもう一つの魅力は、低コストと使いやすさだ。

 CRISPRの技術をベースとしたDIY遺伝子編集キットを生産・販売するというベンチャー企業は、クラウドファンディングでも人気を集め、7万ドルを超える金額を集めた。ユーザーは、わずか130ドルの寄付で「自宅で高精度なゲノム編集を行うために必要なすべて」が得られるという。しかもこの「魔法の杖」は、高校生でも扱えるような手軽さなのだ。

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