承天寺通りに建つ博多寺社町のウェルカムゲート「博多千年門」

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博多駅からもほど近い場所にある「承天寺」。創建は鎌倉時代中期の1242(仁治3)年。臨済宗の僧・円爾(えんに)が、太宰少弐藤資頼(だざいしょうにむとうすけより)や、宋人との貿易で巨万の富を有していた謝国明(しゃこくめい)の助力を得て開いたと伝わる。

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■ おなじみの食べ物の発祥地としても有名!

円爾が宋より帰国する際、水車による製粉技術を学んできたことから、うどん・そば、さらに饅頭発祥の地として有名。さらに、円爾とともに宋に渡った満田彌三右衛門が持ち帰ったとされる織物技術を源流としているのが、現在、国の伝統的工芸品の一つに数えられる「博多織」だ。献上柄と呼ばれる伝統的な文様も円爾が発案したという説もある。

■ 美しき日本庭園は必見!

さまざまなものの発祥地としての一面を持つ承天寺だが、そのシンボルともいえるのが枯山水の庭園。一面に敷き詰められた白石は玄界灘、緑は中国大陸を表現しているといわれ、美しく整えられた様は、ついため息がもれる美しさ。通常、一般開放はされていないが、遠目から眺めることはいつでも可能だ。

毎年秋の「博多ライトアップウォーク 博多千年煌夜」開催時には、「洗濤庭」がライトアップされる。

今日の博多を代表する工芸品、県民に親しまれている食べ物など、さまざまなものの発祥の地として知られる承天寺。その歴史を物語る石碑をはじめ、美しい砂紋が施された石庭など、見どころもいっぱいだ。凛とした空気が流れる寺院一帯で、博多の地が刻んできた歴史や文化を感じてみよう。

【九州ウォーカー編集部/取材・文=諫山 力】