いつまでも続いている痛みに要注意!「急性痛」と「慢性痛」の違いとは

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前回は、急性の痛みである警告としての役割をもつ「必要な痛み」と、単純にいつまでも続いている「不必要な痛み」があることをお伝えいたしました。ここでは、ただ痛いだけで役に立たない「不必要な痛み」の中でも、いつまでも続いている痛みを「慢性痛」、治療の必要な疾患を「慢性疼痛」として説明していきます。

ケガや炎症が治癒した後も続く痛みは「慢性痛」です

ケガやヤケド、骨折や手術直後などの痛みは、組織が損傷したことにより起こる「必要な痛み」で、一般的に急性の痛みといえます。原因となる病気やケガが治ってしまえばなくなる痛みのことです。 一方、痛いだけで役に立たない「不必要な痛み」は長い間おさまらず慢性化しがちです。「不必要な痛み」には、単純にいつまでも続いている痛みと、生活に支障をきたすような治療が必要な痛みがあります。

慢性疼痛の代表格は「神経障害性疼痛」

慢性疼痛で典型的なものは、神経そのものが傷ついたために痛みがでている「神経障害性疼痛」です。
これは神経の機能異常が原因となっている痛みで、例えば帯状疱疹が治ったあとに残っている神経痛「帯状疱疹後神経痛」、肺がんや食道がんなどの治療で開胸手術をした際に肋間神経が傷つけられることで術後に残る痛み「開胸術後症候群」、脊椎手術を受けたあとに残ったり新たにでてきたりする痛み「フェイルドバック症候群」などがあります。

医師でも頭を悩まされる難治性の痛み

神経障害性疼痛には、脳出血後の痛み、手足の切断後の痛み(幻肢痛)、骨折などの外傷や神経損傷のあとに続く難治性の痛みの症状「複合性局所疼痛症候群(CPRS)」など、痛み自体が病気であるものも含まれます。 神経障害性疼痛が起こることは全体としてはほんのわずかですが、難治性であることが多く、一般的に「痛み止め」といわれる消炎鎮痛薬では痛みがおさまりません。多くの場合、ペインクリニックでの治療が必要になります。

「急性痛」「慢性痛」を判断するには

急性の痛みは、たいてい消炎鎮痛薬をのんで1週間もすればおさまります。ケガなどで治るのに1週間程度かかったのであれば、長くみて2週間ほどで痛みはおさまるはずです。 もとの病気やケガが治っているのにさらに、薬をのみつづけないと痛みをがまんできないようなときは、慢性痛に変わっていく可能性があります。

「慢性痛」の疑いがあるときは、痛み専門の病院へ

たとえば腰椎ヘルニアや帯状疱疹などは、痛みの原因となっているもとの病気を治すには、何週間もかかります。もとの病気が治っているのに、あるいは、もう痛みがなくなってもよさそうなのに、鎮痛薬が繰り返し必要な痛みが何週間も続くときは「慢性痛」の疑いがあります、すぐにペインクリニックなど痛み専門の病院に行くほうがいいでしょう。

急性痛も早めに治療することが大切です

ペインクリニックでは、神経障害性疼痛に代表される慢性痛をおもに治療しています。ですが、もちろん急性痛の治療もおこないます。急性痛は消炎鎮痛薬(痛みどめ)でおさまることが多いので、ペインクリニックを受診しようとは思わないかもしれませんが、急性痛もペインクリニックで治療したほうが鎮痛効果が高く、早く治ります。

消炎鎮痛薬と神経ブロックの違いとは?

消炎鎮痛薬は交感神経を高める性質があり、血管を収縮させて血流を悪くするので痛みの原因となっている病気を治すのに時間がかかります。 ペインクリニックでは、神経ブロックという治療法を用いて治療します。これは、交感神経を遮断し、血管を広げて血流を改善させる効果があるため、もとの病気の治りも早くなります。神経ブロックには痛みが長引く(慢性痛に移行してしまう)のを防ぐ効果もあります。

病気が治っても、痛みだけが残ってしまうケースも

たとえば、帯状疱疹は、もとの病気が治っても、痛みだけが残って「帯状疱疹後神経痛」になるケースがあります。帯状疱疹のあとに痛みが残ってしまった場合、できるだけ早く神経ブロックの治療をすると帯状疱疹後神経痛に移行するのを防ぐことができます。帯状疱疹後神経痛は痛みが強く治りにくいものなので、これを防ぐだけでも大きな意味があります。

急性痛から慢性痛になることがあります

「帯状疱疹後神経痛」やケガなどの急性痛でも、後々慢性疼痛になりやすいものがあるので、できるだけ早く治療をおこなうのがおすすめです。また、慢性疼痛に移行してしまった場合でも、その痛みをやわらげることができます。 痛みの治療は早ければ早いほど高い効果が得られます。

痛みが難治性の病気を引き起こします

ケガをすると、その部分を動かすと痛いので動かさなくなってしまいます。でもそうすると「痛いから動かさない」「動かさないから治らない」という悪循環が生まれてしまうのです。 小さな痛みでも、早めに処置をしないと大きな病気へと移行してしまう可能性が高まるので注意が必要です。

まとめ

いかがでしたか?
急性の痛みは、消炎鎮痛薬をのんで1週間もすればおさまります。ケガなどで治るのに1週間程度かかるのであれば、長くみて2週間ほどで痛みはおさまります。ケガなどでも、急性の痛みから慢性疼痛になってしまうものがあります。ペインクリニックでは、神経ブロックという治療法があり、病気の治りも早く、慢性痛に移行してしまうのを防ぐ効果もあります。

参考書籍:河手眞理子著『「痛みの名医」が教える 体の痛みがスッキリ消える』(二見書房)

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