韓国メディアは、日本の10月シリーズを「結果論的には発掘も実験も大部分が失敗だった」と分析した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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「日本対ハイチ、劇的な引き分けを記録……実力不足が物議」(『金剛日報』)
 
「“香川が同点ゴール”日本、ホームで“48位”のハイチ相手に3-3ドロー……危機のハリルホジッチ」(『InterFootball』)
 
 ホームでハイチと引き分けた日本の試合結果は、韓国でも報じられている。ハリルホジッチ監督自ら「最悪な試合」と嘆いたこの日の内容については、韓国メディアの評価も辛口だ。
 
『sportalkorrea』は「“劇的な同点ゴール”日本、ハイチとの親善試合を3-3とギリギリの引き分け」と題した記事で、「後半15分に香川を投入して勝利への意地を見せた」と評価しつつ、「頼りない守備と底力不足を露呈し、辛うじて引き分けた」と切り捨てている。
 
「“ホームで3失点”日本、もはや東アジアに盟主はいない」と見出しを打ったのは『SPOTVNEWS』だ。「日本は“弱体”ハイチにホームで引き分けた」と切り出した記事では、「前半の勢いは良かった」としながら、立て続けに3失点して逆転を許したことについて、「後半ロスタイムのゴールがなければ、衝撃的な敗北を喫していた」と綴った。
 
 また、記事は6日のニュージーランド戦も含め10月の強化試合が1勝1分けで終わったことについて、「結果としては悪くなかったが、問題はパフォーマンスだ」と指摘。ロシア・ワールドカップに向けて新戦力を試すために本田圭佑や岡崎慎司を招集しなかったことを振り返りながら、「ハイチ戦に日本は1.5軍と言える戦力で臨んだが優位に立てなかった」「ニュージーランド戦もパフォーマンスがあまり良くなかった。試合終了3分前に倉田が逆転ゴールを決めて得た紙一重の勝利だった」とし、「結果論的には発掘も実験も大部分が失敗だった」と分析している。
 
 特筆すべきは、日本と韓国が置かれた状況を重ねて見る報道が少なくないことだ。
 
『国民日報』は「もどかしいのは日本も同じ…ハイチと“冷や汗”のドロー」とヘッドラインを置いた記事で、「お隣・日本も韓国と同様にロシア・ワールドカップ出場を決めた後から、実力不足に身もだえている」と報道。「日本もワールドカップ開幕までの8か月間は険しい道のりとなる」と伝えている。
 韓国は10月7日、10日に行なわれたロシアとモロッコとの親善試合で、それぞれ2-4と1-3で敗れている。計7失点の2連敗と不甲斐ない結果に終わったわけだが、試合内容も苦々しいものだった。
 
 順位争いが佳境を迎えるKリーグに配慮し、今回の連戦には海外組だけで挑んだのだが、本職のサイドバック不在で、急きょ採用したのが3-4-3から4-1-4-1に移行できる“変形3バック”だった。
 
 しかし、その窮余の策は選手に馴染まず、結果は大量失点を生んだ。モロッコ戦では相手の素早い攻撃に成す術もなく、前半30分にもならないうちに一気に3人を交代させて4バックに転換していたほどだ。韓国のサッカー専門誌『FourFourTwo KOREA』はこうした結果について、「ディフェンスは自動ドアのようにあっさりと道を開け、選手たちの集中力は飲酒運転レベルだった」と痛烈に批判している。
 
 そんな状況だからこそ韓国は、日本の不振にスポットライトを当てることで、自国の危機感を和らげたかったのかもしれない。前出の『SPOTVNEWS』などは、「日本は韓国とともに“東アジアの盟主”として君臨してきた」と両チームを同列に並べたうえで、その威厳はもはや「紙で作った虎になった」と綴っている。“紙で作った虎”は、日本で言うところの“絵に描いた餅”に当たる言葉だ。
 
 シン・テヨン監督はモロッコ戦後、「このままではワールドカップになぜ出場したんだと言われるかもしれない」と落胆していたが、その姿はハイチ戦後に「恥をさらしてしまった」と怒りをあらわにしたハリルホジッチ監督とも重なる。
 
 岐路に立たされた日本と韓国は、ロシア・ワールドカップまでに“東アジアの盟主”のプライドを取り戻せるだろうか。

文:李仁守(ピッチコミュニケーションズ)

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