映画チケットの販売サイトFandangoには、作品をトマトで評価する「Rotten Tomatoes」というシステムが導入されており、多くの映画ファンが作品を選ぶときに参考にしています。しかし、「Rotten Tomatoes」システムには大きな問題があり、根本的に解決不能な問題であることをVoxはムービー「Why Rotten Tomatoes scores don't mean what they seem」で解説しています。

Why Rotten Tomatoes scores don't mean what they seem - YouTube

映画の論評にトマトの絵が描かれた「Rotten Tomatoes」のスタンプが付いているのを見たことがある人は多いはず。



Rotten Tomatoesがなぜこれほど重宝され一般的になったのかは、近年、増え続けてきた映画タイトル数に原因があります。



上映される映画が多すぎてとても全部を観られないという状況から、人々は、ランク付けによってオススメの作品を教えて欲しいと考えるようになりました。



そこで登場したのがRotten Tomatoesであり、Rotten Tomatoesでのランクをウリにしたパッケージデザインを採用する作品も多くなっています。



Rotten Tomatoesは1998年にカリフォルニア大学バークレー校の学生だったSenh Duongさんが考案したもの。多くの映画レビューをまとめて読めるサイトを作るというアイデアから生み出されました。



その後、映画ファンに受け入れられたRotten Tomatoesは大きく成長し、2016年からは映画チケット販売のFandango傘下になっています。



そこで、Fandangoでチケットを買おうとすると、もれなくトマトマークを目にすることになったというわけです。



Rotten Tomatoesには3つの認証があります。



映画に対する批評のうち、肯定的な評価の割合(Tomatometer)が60%を下回る場合は「Rotten(腐ったトマト)」が与えられ……



肯定的な評価が60%以上のものには「Fresh(新鮮なトマト)」が与えられます。



Freshの中でも、批評数が80個を超え、肯定的な評価が70%以上で、著名な映画評論家(Top Critics)からの批評が5つ以上ある、という条件を満たした作品には、「Certified Fresh」というお墨付きが与えられます。



以上の通り、肯定的な評価の数が、作品のランクを決めるというわけです。



「作品あたり100以上の評価がつけられています」と話す、Voxで映画論評をするアリッサ・ウィルキンソンさん。



ウィルキンソンさんの批評記事は、Rotten Tomatoesに自動集計されます。



Rotten TomatoesのTomatometerは、すべての批評を良いか悪いかどちらかに振り分ける方式ですが、批評の中には良い部分も悪い部分も含まれており、その機微を正当に評価できていないという不都合な面があるとウィルキンソンさんは指摘しています。



例えば、リドリー・スコット監督の「エイリアン:コヴェナント」とバリー・ジャンキンス監督の「ムーンライト」という、いずれもCertified Freshのランクを与えられた作品を考えてみます。



エイリアン:コヴェナントの製作費は9700万ドル(約110億円)



他方でオスカー賞を勝ち取ったムーンライトの製作費はエイリアン:コヴェナントの24分の1にしかすぎませんでした。このような製作費の違いをCertified Freshというランクは覆い隠しています。



さらに、エイリアン:コヴェナントの肯定的な批評が70%だったのに対して……



ムーンライトのTomatometerは98%という極めて高い評価が与えられています。



10点満点のスコアでも、エイリアン:コヴェナントの平均スコアが「6.4」だったのに対して、ムーンライトは平均「9」という圧倒的な差がついています。



しかし、両作品に与えられるのはまったく同じ「Certified Fresh」の印です。



クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」とジョーダン・ピール監督の「Get Out」についてみてみます。両作品はともにCertified Freshの認証を得ています。



実は、肯定的な評価の割合では6%もGet Outが上回っています。



ところがFandangoのサイトでの10段階評価は、ダンケルクの方がスコアが上。ダンケルクは批評家における評価の一致が少ないため、Tomatometerではふるいませんが、10段階では高い評価を得ています。



いずれにせよ、これらの映画に対する批評の内容は、同じCertified Freshのマークが覆い隠してしまいます。



これらの不都合を解消するため、他の評価システムも現れており、Metacriticはその一つ。ただし、非常に主観的であるという評価もあります。



正しい評価を反映したより正当な認証プログラムはないでしょうか?



それを望むのは、現実的ではないとVoxは考えています。



なぜなら、正しく評価するにはさまざまな要素を細かく判定する必要があるから。そもそも、多すぎる作品を一目で分かるようにと「お墨付き」を求めて誕生したのがRotten Tomatoesであって、評価の判断が難しくなるのでは本末転倒だというわけです。