多くの伝説を生み出したミラノダービー。サネッティ(左)もその歴史の偉大な一部である。右はポルトガルのレジェンド、ルイ・コスタ。写真は2005年。 (C) Getty Images

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 ワールドカップの切符を巡る争いが注目されたインターナショナルウィークが終わり、週末に再開されるセリエAでは、多くのビッグマッチが開催される。王者ユベントスはスーパーカップで敗れたラツィオと対戦。首位に立つナポリは、敵地でローマと激突する。

 そして第8節を締めくくる大一番が、10月15日(現地時間)に行なわれるインテル対ミランの「ミラノダービー」だ。
 
 セリエAで167回目となるこの伝統の一戦を前に、インテルのレジェンドであり、現在は同クラブの副会長を務めるハビエル・サネッティが、イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに応じた。
 
 1995年から引退した2014年まで、約20年にわたってインテルでプレーしたサネッティ副会長は、ダービーで天国も地獄も味わった。そんな彼が最も心に残るダービーのトップに挙げたのは、サン・シーロで初めて臨んだ95年10月のダービー(1-1)だ。
 
 サネッティ副会長は「フランコ・バレージやパオロ・マルディーニと対戦することを考えただけで興奮した」と述べ、ミラン守備陣を統率していたバレージに倒された時のことを回想した。
 
「終了間際に、ペナルティーエリア内でぶつかられて倒れたんだ。立ち上がって抗議しようとしたら、相手がバレージだと気付いた。すぐに私は、何もなかった振りをしたよ。どんなぶつかり合いでも決して崩れない、イングランドの選手みたいにね。全ては、偉大なるDFに対する敬意から生まれたものだった」
 
 次にサネッティ副会長が挙げたのは、99年3月の対戦(2-2)。自身のゴールで勝点1をもぎ取った一戦だ。そして“表彰台”の最後には、4-0と快勝した09年8月の一戦を選出している。
 
「チアゴ・モッタの先制点はスペクタクルだったね! 永遠に続いたパスの末に、我々はゴールしたんだ」
 
 ミラノダービーでは、02-03シーズンのチャンピオンズ・リーグ準決勝も有名だ。2戦合計でタイスコアながら、アウェーゴールの差で決勝への切符を逃した2試合について、サネッティ副会長は「第2レグが終わった時は辛かったが、その後は、あの180分間に誇りしか感じなかった」と振り返った。
 
「ロッカールームで泣いたよ。マルディーニや(アレッサンドロ・)コスタクルタ、(カルロ・)アンチェロッティ監督が抱擁しに来てくれたのを覚えている。当時のピッチには、本物の男だったスターたちがいたんだ」
 
 最も苦しめられたミランの選手にカカ、ダービーで最強だった選手にロナウドと、元ブラジル代表の2選手を挙げたサネッティ副会長は、現役時代のインテルのベストイレブンを問われて、以下のレジェンドたちを4-2-3-1のフォーメーションに当てはめた。
 
 守護神はジュリオ・セーザルとフランチェスコ・トルドが半々。最終ラインはマイコン、ジュゼッペ・ベルゴミ、ワルテル・サムエル、ロベルト・カルロス。中盤はサネッティ自身とエステバン・カンビアッソが「超ハードワーク」をこなす形。攻撃陣は、2列目がロナウド、ロベルト・バッジョ、サミュエル・エトオと豪華メンバーで構成され、1トップは3冠達成の立役者であるディエゴ・ミリートだ。
 
 長きにわたってインテルで活躍したサネッティ副会長だけに、「もちろんお遊びだよ」と語り、ディエゴ・シメオネやイバン・コルドバといった「真の友人であり、偉大な一流選手たち」が選外となったことへの配慮も欠かさなかった。
 
 歴代のスターが名を連ねた豪華ベストイレブンには及ばない現在のインテルだが、ルチアーノ・スパレッティ監督が就任した今シーズンは、開幕から7試合を終えて首位に勝点2差の3位と、好スタートを切っている。7位と出遅れたミランとのダービーを制して、さらなる上昇気流に乗りたいところだ。
 
 サネッティ副会長は「あらゆる点で、さらなる成長のシグナルを期待している」とコメント。「ひとつの勝利は、自信を深めてくれるはずだ」と、ダービーを制して弾みをつけようと、チームを鼓舞している。