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 5日付の日経新聞電子版が、「医薬品世界2位のノバルティス(スイス)は、薬が効いた患者だけに支払いを求める“成功報酬型”薬を日本でも販売できるように政府に働きかける」と報じた。

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 具体的な薬は8月に米国で承認され「成功報酬制」が導入された「キムリア」。小児・若年層の急性リンパ性白血病の新薬。来年前半に厚労省に申請し、2018年中の発売を目指すという。

 先進諸国にあっては(高額)新薬の導入に際し、成功報酬型を認めるケースは少なくない。だが日本では新薬の値付けを政府(厚労省)主導で、既存の類似薬の薬価を基に決めるという方法で「硬直化」している。厚労省は「申請があれば門前払いはしない」としているが、果たしてどんな決着となるのか興味深い。

 というのも、増幅し続ける国民の医療費の今後に深く関わってくるからである。厚労省発表の資料を覗くと、こんな現実が目に飛び込んでくる。

・2015年度の国民総医療額は約41兆5,000万円と過去最高。11年度と比べると9・79%余増。・総医療額のうち薬剤費は、約7兆9,000億円と総額の約20%。だが11年度比増加率は19・7%。

 医療費の増幅の主因は、薬剤費の増加に引っ張られていると捉えることもできる。斯界に詳しい医薬品メーカーの厚労省担当者は、「高額新薬の開発が続出している影響が大きい。我々医薬品企業の立場からいえば、仮にノベルティスの申請が通ることになれば収益上の影響も大きい。しかしノバルティスの投じた一石を政府も看過というわけにはいかないだろう。希少疾病の新薬を認可するかどうかは、年後半に集中するのが常。相手は世界のノバルティス。他の新薬で“効果がなければ返金する”といった形で申請を認可に導いたこともある。申請前に厚労省との地ならし交渉を仕掛けてこよう。自分の仕事は単なる“厚労省詣で”では済まなくなる」と思案投げ首の呈である。

 東京大学大学院の五十嵐中・特任准教授は「日本の薬価制度は再考する時期に来ている」としている。だが新薬開発合戦が激しい中「成果報酬型」は我々の側とすれば、望むところである。