8月某日、都内にある日伯少年サッカー育成協会の事務所で対談が行なわれた。(写真●徳原隆元)

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持ち運びができる水素ガス吸引具『KENCOS2-s』(ケンコス)を開発、販売し、注目を浴びている株式会社アクアバンク。「水素を使って世界の人々を健康にしたい。そしてアスリートを支えたい」と考える同社の竹原タカシ社長が、先月、すでにケンコスを愛用しているジーコ氏の元を訪れて、その思いをぶつけた。ジーコ氏の反応は? 特別対談の後編をお送りする。

(『サッカーダイジェスト』2017年10月12日号より転載)

通訳●鈴木國弘
協力●一般社団法人 日伯少年サッカー育成協会

常勝鹿島アントラーズにいまも根付くジーコスピリット「献身」、「尊重」、「誠実」についてうかがいたいのですが?

ジーコ  私は押しつけているわけではありません。経験から、この3つのポイントを大切にすると、成功できると信じていたから、とくに若い選手にアドバイスをしてきました。

竹原 アクアバンクの社訓の最初に出てくるのが、「感謝」と「礼節」なんです。これをなくしては何事も始まらない、スタートです。ビジネスにおいても、おかげ様でというスピリットが一番大事だと思います。

指導者としても、経営者としても、こういった精神は大切なものなのですね。

ジーコ 社長もおっしゃられていましたが、あらゆる状況において大切ですね。私の持っているサッカースクールでも、子どもたちにはチームメイト、コーチや両親、そして相手チームにもリスペクトしなさいと、つねに伝えています。現在の自分に置き換えても、たとえば解説のお仕事をいただく時、スタッフさんへのリスペクトや感謝がないと、いい企画にはならないはずですよね。いま社長と対談させてもらっていますが、これまでやってきたことに対する敬意を持ち、誠実に受け答えしたいと思っています。適当に応えておけばいいや、では、いけません。人間対人間は根本だから。今日はお互いに有意義な時間にしたいですね。

竹原 ありがとうございます。

ジーコさんは年齢も重ねられ、すでに地位も確立していらっしゃいます。それでもサッカーへの情熱は衰えていないように思いますが?

ジーコ サッカーは自分の身体の一部、血になって流れているもの。現役時代の情熱とは質は違いますが、サッカーに対して考える、観る、伝えるという情熱はなくならないですね。なぜ? と聞かれてもよくわからないです(笑)

竹原社長が情熱を持って取り組まれているのが、水素の研究、効果の立証だと思いますが、その水素に注目されたきっかけというのは?

竹原 私がというよりは、慶応大学で水素吸引の学術的な研究がされ、社会的に水素吸引が注目され始めていました。人間の身体の約70%が水でできていて、そして水素は「水の素」と書きます。なにか意味があるなと思いましたし、神秘的に感じました。

水素吸引の現在地は?

竹原 これからです。まだまだ一般的ではありません。科学的に検証して、臨床試験をして、もう少し高い位置から水素を語りたいです。その可能性については50年先、100年先のことを考えれば、本来なら国が研究すべき題材だと思っています。

ジーコ 水素という、見えない、触れられないものを普及させるのは、相当な苦労があるのでは? ただ、地味な活動が、かならず実を結ぶ時がくると思います。誰かがやらないと、新しい世界はこないわけですから。価値のあるチャレンジですね。

アクアバンクさんは、フィギュアスケートの本田真凜選手をスポンサードする他、日伯友好カップをはじめ、さまざまなスポーツイベントにも協賛されていますが、スポーツ業界へ関心が高いのはなぜですか?

竹原 一般の方たちに比べてアスリートは、センシティブで、シビアなところで戦っています。勝負への意識の高い方も多い。そういう世界だからこそ水素の効果が発揮できると思ったんです。