専門家が指摘する、つる要因とは【写真:Getty Images】

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つるのを防ぐには…キーワードは「ストレッチ」「体力回復」「水分補給」「食事」

 10月と言えば「スポーツの秋」。身体を動かし、気持ちの良い汗をかきたい季節だが、やはりスポーツと筋肉の関係は切り離せない。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏が、スポーツトレーニングの舞台裏を語る定期連載。今回は、卓球の福原愛やバドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ同氏に「つる原因と対処法」について訊いた。

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 脚がつる原因は一つではありません。一般的に知られているところで言うと、筋肉疲労や筋肉の柔軟性不足、カルシウム、カリウム、マグネシウムといった体内のミネラルのバランスの崩れ、水分不足を起こすから。また、加齢が関係するとも言われています。

 対処法としては、「つりやすい部位のストレッチを入念に行う」「休養をしっかりとって体力を回復する」「ミネラル不足の場合は適切な水分補給や食事、補食」が挙げられます。

 運動中の水分はお茶や真水よりも、カルシウム、カリウム、マグネシウムを含むスポーツドリンクがベター。補食にナッツやヨーグルトを食べるのも手です。また、お酒は利尿作用があり、飲むと体内の水分とともに、ミネラル分も排出されやすくなります。「運動後のビールがやめられない!」という方は、水分補給とおつまみで栄養素のカバーするように心がけましょう。

 さて、ときには運動の特殊性による動きやフォームが原因で、一部の筋肉に負担がかかり、つりやすくなることもあります。この場合はフォームを上手く改善する、またはフォームに負担がかからないよう、強化していく必要があります。

一か所ばかりがつる場合は、動作に原因がある可能性も…

 しかし、ここで問題が生じます。いくら生理学的にバランスが悪い、身体的な負担が大きい場合でも、単純に「フォームを変えよう」という答えに辿りつくのは、非常にリスキー。なぜなら、生理学的には正しくなくても、特殊な動作によって勝っているケースは往々にしてあるからです。

 その場合、フォームを変えることで勝てなくなる可能性も高い。フォームを変えるべきか、それともいじらず障害を防ぐ補強に徹するか。選手生命にも関わる問題のため、選手・スタッフは慎重に選択を重ねます。

 2012年のロンドンオリンピック前からサポートしていた卓球の福原愛選手を例にお話ししましょう。福原選手は昔からバックハンドに定評があります。彼女の肘はバッグハンドを打つときに過剰に外反。この動作が強さを生み出す一方で、障害を起こす危険もはらんでいました。

 フィジカルトレーナーはもちろん、肘が過剰に曲がらないためのトレーニングを組むことはできます。しかし、強みでもある動作を修正すれば、勝てなくなる可能性も高い。結果、肘の修正ではなく、他の動作の強化の道を選択し、福原選手は女子団体で銀メダルを獲得。その後、予定していた右肘の手術を受けるに至りました。

 話は戻りますが、もしも一か所ばかりがつる場合は、動作に原因があるかもしれません。私たちフィジカルトレーナーは「なぜ、その部位に負担がかかるプレースタイルになってしまうのか」を見抜き、分析するのも仕事です。身近にトレーナーがいるのであれば、一度、見てもらうのも手です