ニック・キリオス【写真:Getty Images】

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中国OP1回戦のジョンソン戦、タイブレークの末に第1セットを落とすと…

 男子テニスの世界ランク21位ニック・キリオス(オーストラリア)が10日、上海ロレックス・マスターズ1回戦で第1セットをタイブレーク落とした後に自らコートを立ち去る事態が発生。その後、自身のツイッターで胃痛に苦しんでいたことを明かしたが、テニス界の“悪童”の行動が波紋を広げている。

 いったい、何が起こったのか。試合を見ていた多くの観客がそう思っただろう。

 10日に行われた1回戦のスティーブ・ジョンソン(米国)戦、第1セットは一進一退の攻防が続いてタイブレークに突入した。しかし、ラインコールにフラストレーションを溜めたキリオスは、暴言など2度の違反行為によりポイントペナルティーで1ポイントを喪失。最後はサービスエースを決められてタイブレークを5-7で落とし、先取を許してしまった。すると――。

 自身のベンチではなく、コート中央へおもむろに歩き出したキリオス。そして、右手を差し出してジョンソンに握手を求めた。まさかの光景にスタンドからどよめきが起こり、握手をかわした審判のファーガス・マーフィー氏からは治療が必要か尋ねられたが、応じずに手早く荷物をまとめると、そのままコートから立ち去ってしまった。

過去には暴言や無気力プレーの“前科” 試合後にツイッターで真相を明かすも…

 途中棄権という想定外の結末に、英公共放送「BBC」は「ニック・キリオスがタイブレークを落としてリタイア」と特集。「キリオスは第1セットのタイブレークを落とすと試合を終了させ、上海マスターズのコートから立ち去った」と報じた。記事では、前回大会でも2回戦のミーシャ・ズベレフ(ドイツ戦)で審判・観客への暴言や無気力なプレーで、1万6500ドル(約170万円)の罰金と出場停止処分を受けた“前科”があることを紹介している。

 キリオスは試合後、自身のツイッターを更新し、事の真相を明かした。

「実はこの24時間、胃腸炎に苦しんでいた。準備を試みるつもりだったが、コート上に立っていた時、本当に苦しかったんだ。それは最初のポイントから明白なものだった。今日の練習で肩も痛めてしまっていて、それはごまかしようのないものだった。最初のセットを落とした時点で、戦いを続けるほど強くはなかった。24時間以上何も口にしていなかったしね」

 本人の投稿によれば、“試合放棄”ではなく、胃腸炎と肩の痛みを抱えていて最後まで戦え抜けなかったという。そして、「今日の結末には本心から落胆している」とつづり、ダブルスの出場は状態を見て判断するとしている。

豪コメンテーターも批評「いったいどういうつもりなんだ?」

 一方、キリオスの母国であるオーストラリアのメディア「News.com.au」は、「この事件はコメンテーターを唖然とさせた」と記して、その批評内容を紹介した。

「上海(大会)とニック・キリオスはいったいどういうつもりなんだ? 感情が彼自身を打ち負かし、彼はコートから去ったんだ。彼が言った。もしこのセットを落とせば、リタイアすると。審判が観客をコントロールするために下した決断もハッピーなものではなかった」

 今年8月のウェスタン&サザン・オープンでは、同時期にテロで傷ついたバルセロナへエールを送るなど心温まる行動を見せていたキリオス。しかし、今回の一件で、再び“悪童”のイメージを呼び覚ますことになってしまった。