欧州宇宙機関(ESA)が公開した近地球型小惑星「2012 TC4」(中央)の画像(2017年8月10日公開)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】家1軒ほどの大きさの小惑星が10月12日、地球に異常接近する。通過時に衝突の危険性はないものの、月の軌道の内側まで接近するこの小惑星は、専門家にとっては地球衝突という現実の脅威の予行演習をする絶好の機会だ。

「2012 TC4」と呼ばれるこの小惑星は、欧州宇宙機関(ESA)と米航空宇宙局(NASA)によると、グリニッジ標準時(GMT)12日午前5時41分(日本時間同日午後2時41分)の直前に、オーストラリア南方の地点の上空で地球に最接近する。肉眼や普通の双眼鏡では見えないが、「欧州の観測所からは11日の夜から12日午前4時頃まで観測可能」と、オランダで活動するESA地球近傍天体研究チームのリュディガー・ジェン(Ruediger Jehn)氏は話している。接近、通過するのは、地球から4万4000キロ未満の位置、多数の静止衛星が地球を周回している高度3万6000キロの軌道面の真上。これは地球から月までの距離の約8分の1に相当する。

 TC4を特定、追跡して詳細に調査する今回の訓練を率いるNASAのマイク・ケリー(Mike Kelley)氏は、人工衛星にも危険は及ばないと明言。AFPの取材に対して、「これまで2か月間にわたってTC4を監視し、極めて正確な位置情報が得られている。この情報により、極めて精度の高い軌道計算が可能だ」として、TC4の軌道が地球や人工衛星の軌道と交差することはないと語った。

 2012年に発見されたTC4は幅が約15〜30メートルで、位置情報が判明している多数の小惑星のうちの一つだ。だが、位置が分かっていない小惑星は限りなくある。

 ESAのジェン氏によると、609日間で太陽を公転するTC4は今後、2050年と2079年に再び地球に接近するという。

 ジェン氏は、AFPの取材に応じた電子メールで「現在分かっているのは、TC4は2050年には地球に衝突する可能性はないが、2050年の近距離での接近通過で同小惑星の軌道がそれ、2079年に地球に衝突する恐れのある進路に変わる可能性があることだ」と語った。

■巨大小惑星はいつか地球に、でも避難以外に手立てなし

 TC4はその際に750分の1の確率で地球に衝突する恐れがあるとして、ごくわずかな衝突リスクをもたらす天体の「危険度リスト」の13番目に記載されている。

「2050年の再接近をより的確に予測するには、極めて正確な観測を行う必要がある」と、ジェン氏は主張する。

 この程度の接近通過は、実際には極めて多く発生しており、TC4と同等サイズの天体は毎年約3個、同程度の距離まで地球に接近通過している。

 TC4が特別なのは、世界各地の天文台、大学、研究所のネットワークから情報提供を受けている地球規模の小惑星警告システムをテストする対象に選ばれたことだ。

 TC4が近距離まで接近することで、研究チームは小惑星の軌道と大きさをどのくらいの精度で予測できたかを評価できると同時に、小惑星の組成をより詳細に知るための観測を各地の望遠鏡を用いて行うことができる。

 ジェン氏と同じチームのデトレフ・コシュニー(Detlef Koschny)氏は、「私たちにとって今回はテストケースだ」として、本当に重大なケースに向けた訓練を行っているところだと説明した。

 恐竜を絶滅させた大きさの小惑星がいつか再び地球に衝突することはあり得ると多くの科学者は考えているが、それがいつ起きるかは誰も分からない。また、小惑星衝突の予測精度が向上したとしても、対処できる手段は今のところ、ほぼないに等しい。

 接近する隕石を破壊するか、その進路をそらすことを目的として議論された未来的な計画はこれまでのところ行き詰まっており、唯一の対策は危険が及ぶ地域の人々を避難させることだとされている。
【翻訳編集】AFPBB News