攻撃で違いを生み出したメッシが苦境に立たされたアルゼンチンをW杯へと導いた。 (C) Getty Images

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 現地時間10月10日、ロシア・ワールドカップ南米予選最終節のエクアドルの首都キトで、エクアドル対アルゼンチンの一戦が行なわれた。
 
 引き分け以下の結果に終われば、他会場の結果次第で47年ぶりの予選敗退が決まるアルゼンチンは、攻撃的な3-4-2-1システムを採用。大黒柱のリオネル・メッシとアンヘル・ディ・マリアを2シャドーに配置し、1トップにはダリオ・ベネデットを据えた。
 
 窮地に追い込まれたアウェーチームに絶対勝利が求められるなか、試合は開始直後にホームチームが突き動かす。1分、自陣からのボールを巧みに捌いたロベルト・オルドニェスとのワンツーで抜け出したロマリオ・イバーラが相手守護神ロメロとの一対一を制してネットを揺らしたのだ。
 
 先手を取られてしまったアルゼンチンだったが、徐々に落ち着きを取り戻すと、エースのメッシが千両役者ぶりを発揮する。
 
 まずは12分、左サイドのディ・マリアとの連携からペナルティーエリア内でボールを受け、得意の左足でゴールへと流し込んで同点とする。さらに20分にもメッシはバイタルエリアで相手からボールを奪取して、そのままゴール前へ突進。再び左足で豪快に射抜いた。
 
 メッシの怒涛の2ゴールで逆転したアルゼンチンは、標高2800メートルの高地で行なわれていることもあってか、ややペースを落として試合を進行。それでも守備面ではハビエル・マスチェラーノらが要所を締めた。
 
 その後、目立ったチャンスはなかったものの、アルゼンチンは、ボールポゼッションを高めつつ、巧みに試合をコントロール。1点をリードして前半を折り返した。
 
 迎えた後半はホームのエクアドルが、中長距離のパスを用いた力業で敵ゴールをこじ開けにかかると、アルゼンチンは前半と打って変わって受け身に回ってしまう。
 
 それでも地力で勝るアルゼンチンは、相手のパワープレーを我慢強く凌ぐと、殊勝な大黒柱が三度ネットを揺らす。62分、メッシがバイタルエリアから敵ゴールへとドリブルで突進し、最後は相手GKの位置を見定めてループシュートを決めたのだ。
 
 メッシの圧巻のハットトリックでホームチームを突き放したアルゼンチンは、その後、再び守勢に回ったが、集中力を失ったエクアドルの攻撃陣がミスを連発したことで危なげなく守り抜いた。
 
 83分にはボランチのレアンドロ・パレデスをディ・マリアに、90分にエドゥアルド・サルビオをCBのフェデリコ・ファシオに代えるなど守備の枚数を増やして逃げ切り態勢を固めたアルゼンチンは、ホームで意地を見せたいエクアドルの試合終盤の猛攻を凌ぎきった。
 
 試合は結局3-1でアルゼンチンが勝利。この結果、順位を3位に浮上させて、見事にワールドカップ本大会への切符を勝ち取った。