低調な内容に会見で怒りを露わにしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:田中伸弥】

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「このような相手に失点してしまえばW杯ではどうなる?」

 日本代表は10日、キリンチャレンジカップでハイチ代表と対戦してホームで3-3の引き分けに終わった。この試合中、現地日産スタジアムで取材をするイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

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――スタメンが発表されました。ショーンさんが注目する選手は誰ですか?

「注目選手は小林だと思う。若い時からかなり期待されていたし、常に自信満々。彼のプレーを見るのは楽しみ」

――今日の試合の注目ポイントはどこになるでしょうか?

「失点をゼロに抑えること。相手とは実力差があるみたいだから、最後まで集中を切らさないようにプレーしないといけない」

――開始7分、長友のクロスから倉田がニュージーランド戦に続き2試合連続のゴールです!

「倉田のゴールは良かったね。長友のクロスの質も高かった」

――さらに17分には杉本が代表初ゴールを決めました。倉田のシュートのこぼれ球を押し込んで日本に追加点です。

「ちょっとラッキーだったね。それにしてもハイチのディフェンスは甘い…」

――日本はハイチ相手にほとんどチャンスを作らせず…と思ったらゴール前にスルーパスを通されて簡単に失点してしまいました。

「日本はリラックスし過ぎたね。最近の試合で失点が多いことはちょっと心配。このような相手に失点してしまえばW杯ではどうなる?」

――39分、杉本のシュートはわずかに枠を外れました…。日本はなかなかシュートを枠に飛ばすことが出来ません。

「それも問題だね。ラストサードの精度はまだ足りない」

――ハイチは日本の攻撃に慣れてきたようです。

「そうだね。日本は攻撃のバリエーションが少ないから」

「前半のMVPは長友」「リザーブ選手はチャンスを活かせなかった」

――前半は2-1のリードで終了しました。ここまでの印象はどうでしたか?

「立ち上がりは良かったけど、少しずつ守備の圧力がなくなったね」

――ショーンさんが選ぶ前半のMVPは誰ですか?

「長友は良かったね。相変わらず攻守のバランスは良かったし、倉田へのクロスも精度が高かった」

――後半の注目はどこになりますか?

「絶対に失点しないこと!」

――にもかかわらず、日本は後半開始わずか8分でセットプレーから同点に追い付かれてしまいました…。

「まさに言った通り…。ワイドへの守備は良くなかったし、エリア内のマークも甘かった」

――ハイチはFIFAランク48位で日本との差は大きくありませんが、北中米カリブ海のW杯予選では最終予選に進出できなかったチームです。

「日本は2-0のリードを奪ってからリラックスし過ぎた。選手は“相手は強くないな”と考えたかもしれない。そうなると絶対に危険なことが起きる」

――失点直後、ハリルホジッチ監督は井手口と香川を立て続けに投入しました。

「リザーブの選手たちはチャンスを活かせなかったね…」

――今日の日産スタジアムは空席が目立ちますね。チケットが売れていないようで、試合前に選手がSNSで呼びかけていました。

「雰囲気もパフォーマンスもいまいち。まあ仕方ないかな。相手はそんなに面白くないし、日本はフルメンバーじゃないし、平日だしね」

「W杯でこのようなパフォーマンスだったら相手は関係ない」

――杉本に代えて大迫投入です。杉本はハリルホジッチ監督にアピールできたのでしょうか?

「そんなにインパクトはなかったね。でも、最初の15分以降は日本の攻撃全体が良くなかった」

――日本は20番のナゾンに強烈なミドルシュートを叩き込まれ、逆転を許してしまいました…。

「ディフェンダーのプレッシャーがまったくなかったね。誰も相手に寄せなかった。今日の相手がブラジルだったら…。ブラジルが相手なら日本の選手の集中力は違うと思うけど、今日は全然100%を出していないね。ハリルの会見はどうなるかな?」

――日本はこの試合で敗れた場合、FIFAランキングのポイントに影響が出るためW杯の組み合わせ抽選がさらに厳しくなる可能性があります…。

「それは良くないことだけど、W杯でこのようなパフォーマンスだったら相手は関係ないと思う」

――敗戦濃厚のところで香川が同点ゴールです。ゴール前で倒れていましたが、酒井高徳のシュートに反応してゴールに押し込みました。

「香川が触らなかったら入ってなかったね。反応は凄かった。やっぱり香川は考える時間がない時の方が絶対に結果を残せる」

――試合は3-3の引き分けに終わりました。試合全体のMVPは誰だと思いますか?

「難しい質問だね…。正直に言えば、一番良かった選手は麻也や長谷部など今日プレーしなかったレギュラーじゃない?」

「一番大きな課題はディフェンス」「ベテラン選手がまだ重要な役割を果たせる確認できた」

――日本はハイチ相手になんとか引き分けでした。欧州遠征はどうなるでしょう?

「もちろん心配ですが、緊張感は全然違うはず。今日は2-0になってから“余裕がある”という姿勢が出たが、来月の試合は全然そうはならないと思う」

――この2試合で見えた課題と収穫は何だと思いますか? ニュージーランドやハイチと対戦してどのような意味があったのでしょう?

「一番大きな課題はディフェンス。ディフェンダーだけじゃなくて、チーム全体の守備組織。収穫はベテラン選手がまだ重要な役割を果たせるとハリル監督が確認できたこと。もちろんこの2試合には意味があった。このような苦しい結果の方が簡単な勝利よりプラスになると思う」

――この2試合で結果を残せなかったと思う選手は誰でしたか?

「それは1つの試合だけではわからないと思う。ただ、GKというポジションは非常に厳しいので、東口に次のチャンスがいつ来るかはわからない。失点は彼だけの責任じゃなかったけどね」

――ハリルホジッチ監督は試合後の会見で「ブラジル相手なら10点取られていた」と怒りを露わにしていたようですね。

「選手たちも同じようなことを言っていた。でも、そうはならないと思う」

――欧州遠征で日本がブラジル、ベルギーに勝つためにはどうすべきでしょうか?

「とりあえず守備を固めないといけない。そして攻撃するときに判断スピードは高めなきゃ。今日は少し遅かった。ブラジルやベルギーのようなトップレベル相手に同じ判断スピードだったら得点を奪うのは非常に厳しい」

――ありがとうございました。欧州遠征でもよろしくお願いします。

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

text by 編集部