金正恩氏

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韓国紙・朝鮮日報は9日、金正恩党委員長ら北朝鮮指導部に対する「斬首作戦」を含む米韓連合軍の機密文書が、北朝鮮人と思しきハッカーによって大量に盗まれていたことが明らかになったと報じた。

トイレの代用品も

同紙は韓国国会の国防委員会で与党「共に民主党」の幹事を務める李哲熙議員のコメントを引用し、昨年9月、韓国軍の国防統合データセンター(DIDC)に北朝鮮人と推定されるハッカーらが侵入し、合計235ギガバイト分の資料を盗んだと伝えた。

盗まれた資料の中には、「斬首作戦」の具体的内容が記された「作戦計画5015」も含まれていたという。作戦計画5015は、朝鮮半島で全面戦争が起きた場合の米韓連合軍の作戦計画で、2015年に策定されたものだ。北朝鮮はそれを、出来て間もなく手に入れたことになる。

自身に対する「斬首作戦」を恐れ、行く先々に自分用のトイレ代用品を持ち歩いているとされる金正恩氏にとっては、大成果だったはずだ。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

盗まれた機密文書の中には、北朝鮮の急変事態において発動される「緊急時対応計画」など、韓国軍の特殊作戦司令部の行動要綱が大量に含まれていたという。

そういえば、金正恩氏は最近、核兵器開発と並んで特殊戦部隊の強化にも力を入れているように見える。部隊の訓練を現地指導した様子がたびたび北朝鮮メディアで報じられており、10日には聯合ニュースが、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)がパラグライダーを使った米韓軍への奇襲を準備していると伝えた。

聯合によれば、朝鮮人民軍は特殊戦訓練場に韓米連合司令部の模型を設置。陸軍第11軍団と前線軍団の軽歩兵師団と旅団、狙撃旅団、海軍と航空軍、反航空(防空)軍所属の狙撃旅団などで構成された特殊戦要員が数チームに分かれ、パラグライダーでの奇襲訓練を行ったという。

朝鮮人民軍のこうした動向には、米韓連合軍の機密文書を研究した成果が反映されていると見て間違いなかろう。

一方、朝鮮日報によれば、韓国軍が盗まれた資料の目録を確認できたのは全体の22.5%だけで、あとは何が盗まれたのかすらも把握できていないという。

マティス米国防長官は9日、ワシントン市内で行った講演後の質疑応答で、北朝鮮問題について「今後どうなるか分からないが、大統領が必要とした場合に取ることができる軍事的選択肢をしっかり用意しておかねばならない」と述べ、武力行使の準備を進める考えを示したという。ただ、北朝鮮によって手の内を読まれた状態では、米韓も動くのは難しい。

金正恩氏が暴走を加速させている背景には、「相手の秘密を握った」ことによる余裕があるのかもしれない。