10月の日経平均は今年も上昇なら4年連続。だがそろそろ息切れも?(写真:尾形文繁)

日本株が堅調な値動きを見せている。日経平均株価は10日も年初来高値を更新、2万0823円で取引を終えた。

実は、長期的に日経平均株価を振り返ると、10月相場は対照的だ。1980〜2000年代には歴史的な下げ相場が何度かあった一方、2014年以降は上げ相場が続いている。今月はこのあとどうなるのか。テクニカル面から日本株の見通しを探ってみた。

まず、10月にあった「歴史的な下げ局面」を挙げてみよう。以下のように3回あった。

1987年10月19日 ブラックマンデー

双子の赤字の拡大やルーブル合意の信頼性の破たん等を背景に、NYダウが一晩で22.6%安となった。翌10月20日の日経平均株価も2万1910円と、前日比14.9%安と急落した。

1998年10月23日 長銀国有化

日本国内で次々と大手金融機関の不良債権問題が表面化し、銀行や証券会社の破たんが続いた。これを機に、個人マネーはタンス預金に向かったともいわれている。
なお、当時の日経平均株価は1万4144円。

2008年10月28日 平成バブル崩壊後の最安値

米金融危機を発端に、世界のマネーの流動性が枯渇。日経平均株価はバブル後安値6994円をつけ、しばらく日本株の低迷期が続く。

一方、2014年以降の10月相場を見てみよう。

2014年10月 +1.5%(同月末の日経平均株価1万6413円)
※10月末に日銀追加緩和があり、一気に上昇
2015年10月 +9.7%(同1万9083円)※中国人民元切り下げ後の反発
2016年10月 +5.9%(同1万7425円)※翌11月にトランプラリー
2017年の10月相場は+2.3%(10日時点)と年初来高値圏で推移している。

こうしてみると、10月は4年連続で上昇の月になりそうな気配もある。だが、足元の日本株には「物色の偏重」がうかがえる。どういうことか。
先導株比率が上昇しているからだ。

先導株比率とは東証1部売買高のうち「上位10銘柄」の占める割合を示し、市場全体の物色の集中度合いを表す。計算式は以下の通りだ。

先導株比率(%)=出来高上位10銘柄の売買高合計÷東証1部売買高

この値は通常は15%〜30%で推移する。上昇している場合は物色のテーマやリード役が存在し、低下している場合は物色の柱が定まらない状態になっているといわれる。

通常、先導株比率と日経平均株価との相関性はさほど高くない。だが、先導株比率が極端に上下へ振れた場合は、相場の急変を示唆することもあるので注視しておきたい。

代表的なケースとして、以下の2つが挙げられよう。

’簀禮眈絨未超低位株(かつ指数寄与度の低い銘柄)→相場急変リスクは比較的小さい

売買高上位が値がさ株(かつ指数寄与度の高い銘柄)→相場急変リスクは比較的高い

足元の先導株比率は40%前後まで上振れ、指数寄与度の高い値がさ株に物色が偏っている。今後、値がさ株中心の物色が一巡した場合、相場急変もありうるのではないか。

「75日線かい離+5%」なら日経平均の上値は?

もう一つ。テクニカル面では中期投資家の売買コストとされる75日線(約3ヵ月分)を中心にみると、2017年の日経平均株価は上下5%前後が天底となっている。

10日の日経平均は2015年6月高値2万0868円に手が届く位置まで上昇しているが、同日時点の75日線+5%水準は2万0956円と、ここからの上値余地は限られそうだ。

10月22日には、衆議院選挙の投開票が控える。与野党の争点は2019年10月に予定されている消費増税(10%に引き上げ)等になりそうだ。
与党は社会保障費の財源確保や教育費のための増税実施をうたう一方、2020年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の年次目標の旗を降ろした。アベノミクスの景気拡大も5年弱に達するが、個人消費や賃金の伸びは鈍く、税収も前年を下回る等の息切れ感もただよう。

他方、野党は増税反対を掲げ、希望の党(ユリノミクス)は民間主導による経済底上げを狙う。注目は金融政策だ。2018年4月には黒田東彦日銀総裁の任期を迎えるなか、野党躍進となれば、金融緩和策の継続に不透明感が漂う。その際は円高が進み日本株が一時的に調整することもありそうだ。「政策の柱」も「相場の柱」もみえづらいなか、4年連続高がかかる10月相場を「ユリ」動かすほどの上積みは限られそうだ。

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