ハリルホジッチ監督がしきりに語るポゼッションの是非。ハイチ指揮官も似たようなニュアンスを語った。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ2017]日本3-3ハイチ/10月10日/日産スタジアム
 
「前半20分まで、我々はプレーしていない状態。いわば観客のようだった」
 
 7分に倉田秋、17分に杉本健勇のゴールであっさりと日本にリードを許した時間帯を、ハイチ代表のマルク・コラ監督がこのように振り返った。
 
 それもそのはず、ワールドカップ予選で敗退しているハイチ代表にとって現在は、「次の2022年のワールドカップに向けてチームを作っている」(コラ監督)段階。また、指揮官が「準備に3日、練習は2回しかしていない」と前日会見で明かしたことからも、試合の入りが悪かったことは納得できる。
 
 しかしハイチは、日本に主導権を渡しながらも、28分にケビン・ラフランスのゴールで1点を返すと、53分には折り返しのボールにデュカン・ナゾンが合わせて同点にする。さらに、そのナゾンが78分に狙いすましたミドルシュートを叩き込み、一気に逆転に成功した。
 
 後半アディショナルタイムに香川真司にゴールを決められドローに終わったハイチだが、指揮官は「選手たちは1点を守り切れず悔しがっていたし、私もガッカリはした。でも、戦いぶりには満足している。日本が3点目を取ったのは論理的。決定機も多かったし、日本には良い印象を持っている」と語った。
 
 しかし、コラ監督は「でも…」と続けると、格上相手に3ゴールを奪ったことについて口を開いた。
 
「サッカーはボール支配率が高くても勝てないということを証明する試合になった。我々は日本より3分の1ほどしかチャンスがなかったが、ウチのほうが決定力を発揮した」と少ないチャンスをモノにできたことを自賛した。
 
 思い返せば、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も10月シリーズのメンバー発表会見で、こんな熱弁を振るっていた。
 
「日本のサッカーはポゼッションをベースに考えられている。もちろん、得点を取るにはボールを保持しなければならない。それがポゼッションだが、相手よりボールを持ったからといって、勝てるとは限らない。だから、ポゼッションが高いから勝てるというのは真実ではない」と日本の“ポゼッション至上主義”に対する警告を、まるで講義のように18分間に渡って説明していた。
 
 この日はまさに、”ポゼッションの日本”が勝てなかった試合だろう。ハイチ指揮官が「サッカーはチャンスを作った方がゴールを奪う確率が上がる。今日の日本も6、7、8点を取るチャンスがあった」と日本の強さを認めたが、ハリルホジッチ監督の警告通り、「ポゼッションが高ければ勝てるという罠に陥った」ゲームとなった。

 コラ監督には、日本の報道陣から「日本サッカーの永遠の課題が決定力不足です。その原因はどこにあると思いますか?」という質問も飛んだが、「大きな欠点があるとは思わない。日本は正しい道を歩んでいると思う。そんなに心配する必要はない。私はロシア・ワールドカップでは日本のサポーターになるよ」と返答し、具体的な言及は避けた。

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